ビットコイン9万ドル以下で停滞|今後の相場展望・年末見通しは?

ビットコイン(BTC)の価格は22日、8万8925ドル前後で推移し、週末以降は方向感に乏しい展開が続いている。
10月に記録した史上最高値12万6000ドルからは約36%下落。その後反発を試みたものの、上値の重さが意識され、回復の勢いは限定的となっている。
こうした値動きの背景には、長期保有者の含み益縮小を受けた売り圧力の高まりに加え、マクロ経済環境の逆風が重なっていることが挙げられる。
ビットコイン長期保有者の利益縮小が売り圧力に
オンチェーンデータからは、ビットコイン長期保有者の行動変化が相場の重荷となっている状況が浮かび上がる。
長期保有者の未実現利益/損失割合は月次ベースで安値を更新し、含み益が急速に縮小。
これは保有者心理の悪化を示すもので、過去の局面では同水準が防御的な売りの加速点となってきた。
実際、長期保有者の供給量における30日変動は、過去数日で約20カ月ぶりの低水準に落ち込み、2024年4月以来となる分配圧力の高まりを示唆している。
残存利益を確保しようとするポジション調整が供給増につながる一方、新規需要は乏しく、ビットコイン価格反発を阻んでいる。
マクロ逆風とETF資金流出が重なり、BTCは上値の重さを意識
マクロ環境も、ビットコイン相場に対する下押し圧力を強めている。
米連邦準備制度理事会(FRB)は12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後、2026年に向けた追加利下げの見通しを示したものの、市場ではすでに織り込み済みとの見方が広がり、反応は限定的にとどまった。
一方、日本銀行が12月19日に実施した0.25%の利上げは、過去の同様の局面においてビットコインが27~30%下落した前例を想起させ、投資家心理を冷やしている。
加えて、AIバブルへの警戒感を背景にハイテク株が軟調に推移し、ナスダック指数の下落が暗号資産(仮想通貨)市場にも波及した。
需給面では、現物ビットコインETFからの資金流出と需要低迷が、下落要因として一段と顕在化している。
11月末以降のETF流入の鈍化は、クジラによる取引所へのビットコイン移送と歩調を合わせ、売却圧力を増幅させた。
さらに、レバレッジ取引の清算が連鎖的に発生し、12月15日の急落を加速させるなど、市場構造の脆弱性も浮き彫りとなった。
短期的には、長期保有者の売りが一巡すれば上値余地が生じる可能性はあるものの、株式市場の弱含みや月末に控えるオプション満期の影響を踏まえると、当面は方向感に乏しい調整局面が続く公算が大きい。
【12月22日最新】ビットコイン(BTC)価格の年末見通し
ここからは、価格チャートの動きを踏まえながら、ビットコインの今後を展望し、2025年末に向けた相場シナリオを予想する。
週足分析:長期上昇トレンドの基盤を支える100週移動平均線

出典:TradingView BTC/USD 週足(2022年~現在まで)
ビットコインの週足チャートを振り返ると、2023年秋に20週移動平均線と100週移動平均線がゴールデンクロスを形成して以来、全体的な上昇傾向が続いている。
この構造は現在も崩れておらず、11月の調整相場で20週線を一時下抜けたものの、100週線(およそ8万5500ドル付近)が堅固なサポートとして機能し、下げ止まりを示した。
この水準は最近3回にわたりテストされており、年末に向けた重要な節目となっている。
仮にここを維持できれば、市場参加者の信頼が回復し、上昇トレンドが再び強まる可能性が高い。
一方、週足RSIは38前後まで低下し、売られ過ぎゾーンに近づいているが、即時の反転シグナルとは見なせない。
依然として下押し圧力が残る中、長期サポートの耐久力が今後の流れを決める鍵だ。
日足分析:短期変動の行方を探る転換点

出典:TradingView BTC/USD 日足(2025年4月~現在まで)
日足チャートでは、10月下旬に20日移動平均線が100日移動平均線を下抜けるデッドクロスが発生し、下落トレンドが鮮明になった。
その後、高値と安値を徐々に切り下げる展開が続き、11月後半には8万500ドル台付近まで値を落とした。
しかし、12月に入ってからは兆しが見え始め、価格が一時20日線を上回る場面もあった。
それでも、足元では再び20日線を下回り、安値近辺での横ばいが続いているため、明確な方向性は欠如している。
直近の20日線を明確に超えられれば、年末にかけて12月高値圏の9万5000ドル付近への反発が期待できる。
一方で、下値目安として8万4000ドル前後が重要な支えとなっており、日足の実体でこれを割り込めば、8万ドルから8万1000ドル台へのさらなる調整が入りやすい。
ビットコイン(BTC)のエントリー&利確ポイント
BTCは現在8万8000ドル付近で推移し、短期的な調整局面が続いている。週足では100週移動平均線を維持する長期上昇トレンドが残る一方、日足では下押し圧力が優勢で、レンジ内のもみ合いが目立つ。今後の焦点は8万5000ドルサポートの防衛と9万ドル抵抗の突破にある。
エントリーポイント:8万5000-8万6000ドル付近での反発確認
8万5000ドル前後は100週移動平均線に近い重要なサポートゾーン。ここで下げ止まりを示し、RSIの売られ過ぎからの回復が確認できれば、長期視点での買いエントリーを検討できる
利確ポイント:9万-9万5000ドルを段階目標に
まず9万ドルの心理的抵抗を突破できれば、短期反発の勢いが強まり、第一利確を9万ドル~9万2000ドル付近に置く。さらに週足終値で9万2000ドルを上回る展開なら、中期的な上昇再開を示唆し、第二目標として9万5000ドルを意識する。
リスク管理:8万5000ドル割れでの下落加速に注意
長期トレンドの鍵となる8万5000ドルを週足終値ベースで失うと、8万ドル台への調整リスクが高まる。損切りラインを8万5000ドル直下に設定し、ポジションを厳しく管理したい。