Ledger、新ハードウェアウォレット「Nano Gen5」を発表

ハードウェアウォレット大手のLedgerは23日、パリで開催したイベント「Op3n」で最新のセキュリティ製品ラインナップを公開した。
新製品には「Ledger Nano Gen5」、刷新されたアプリ「Ledger Wallet」、そして機関投資家向けの「Enterprise Multisig」プラットフォームが含まれる。
Ledger Nano Gen5とLedger Walletの進化
Ledgerは、象徴的な製品ラインであるLedger Nanoを「再誕」させ、新型ハードウェアウォレット「Ledger Nano Gen5」を正式に発表した。
新デバイスには高コントラストのE Inkセキュアスクリーンが搭載され、クリアサイニングやトランザクションチェックといった詐欺防止機能を強化している。
価格は179ドル(約2万7,387円)で、上位モデルと同等のセキュリティ性能をより手頃な価格で提供する戦略的なモデルとなる。
同時に「Ledger Live」アプリは「Ledger Wallet」へと進化し、dAppへの直接接続や銀行口座からのステーブルコインオンランプ機能を追加。
ユーザーの利便性とセキュリティを両立させた。
この発表は、Ledgerが単なるハードウェアメーカーから、デジタル資産保護の総合プラットフォームへと進化していることを示している。
開発の背景と市場戦略
Ledgerは開発背景として、AIによるセキュリティリスクの高まりや本人確認・資産保護の課題を挙げている。
ブログでは「スマートフォンやコンピューターは情報共有のために作られたもので、保護のためではない。Ledgerはそのギャップを埋める」と強調。
包括的な保護システムへの転換を進めている。
また179ドルという価格設定は上位モデルであるLedger Flex(250ドル)やStax(400ドル)と同等のセキュリティをより多くのユーザーに提供する狙いだ。
1inchとの提携によりdAppへの直接接続を可能にし、ブラウザ拡張によるリスクを軽減。
さらに、Macintoshの初代アイコンデザイナーであるスーザン・ケア氏とのコラボでコレクタブルバッジも展開するなど、UXにも注力している。
技術仕様と今後の展開
Ledger Nano Gen5は、反射防止コーティングが施された400×300ピクセルのE Inkモノクロディスプレイを搭載。
CC EAL6+認証のST33K1M5セキュアエレメントチップを内蔵する。接続面ではBluetooth 5.2、USB-C、NFCに対応。
さらに、Ledger Walletを通じてビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)など500種類以上の仮想通貨に対応。
サードパーティウォレット経由で数千種類のトークンやNFTも利用可能。
バッテリーは190mAhで、E Inkの省電力性により最大10時間の使用が可能。
アルミ製ではなくプラスチックフレームを採用しつつ、セキュリティ性能は上位モデルと同等だ。
発売に合わせて、Suiとの提携による40万ドル(約6,120万円)規模のキャンペーンも展開予定。
なお、Gen5はバックライト非搭載のため暗所では視認性が制限されるが、取引の安全性やタッチ精度は上位モデルと同等とされている。