Ledgerが過去最高収益、NY市場への進出も視野に

暗号資産(仮想通貨)のハードウェアウォレットを手がけるLedgerは9日、25年の収益が過去最高を記録し、ニューヨークでの株式上場を検討していると明らかにした。
フィナンシャル・タイムズによると、フランス・パリに本社を置く同社は、25年に数億ドル規模の収益を達成し、創業以来で最も高い業績となった。
パスカル・ゴティエCEOによれば、Ledgerは現在、世界中の顧客の資産である約1000億ドル相当のビットコイン(BTC)を保管しているという。
サイバー攻撃の急増で需要拡大
好調な業績の背景には、仮想通貨を標的としたサイバー攻撃の増加がある。安全なハードウェアウォレットを求める声が高まり、需要が急増した。
ブロックチェーン分析企業Chainalysisのデータによれば、25年上半期にハッカーによって盗まれたデジタル資産は22億ドルに上り、すでに24年通年の被害額を上回った。
このうち約23%が個人ウォレットを狙ったもので、Ledgerが提供するコールドストレージ型ソリューションへの関心が高まっている。
ゴティエCEOは「銀行口座や仮想通貨へのハッキングは日に日に増えており、来年以降も状況が改善することはないだろう」と述べ、セキュリティの重要性を強調した。
さらに、相次ぐ取引所の破綻が中央集権型プラットフォームへの不信感を生み、ハードウェアウォレットの利用を後押ししている。
米国市場への戦略転換
Ledgerは今後、ニューヨークでの株式上場や、新たなプライベート資金調達ラウンドを成長戦略の一環として検討している。
ゴティエCEOは「今日の仮想通貨の資金はニューヨークにあり、世界の他のどこにもない。ヨーロッパには確かではない」と語り、米国市場への注力姿勢を明らかにした。
同社はニューヨークのチームを拡大する方針を示しており、規制の明確化や機関投資家の参入が進む米国市場に対応する動きといえる。
LedgerはTrezorやTangemといった競合が存在する中でも、依然として市場における優位性を保っている。
同社は今後、ブラックフライデーやクリスマス商戦といった季節的要因がさらなる収益増につながると見込んでいる。
特に、安全なビットコインウォレットを求める投資家にとって、Ledgerの製品は主要な選択肢として位置づけられている。
また、仮想通貨を長期保有する投資家の増加とも連動しており、Ledgerの成長を下支えしている。