Kraken、Mastercardと提携|暗号資産デビットカード提供開始

暗号資産取引所大手のKrakenは25日、Mastercardと提携したデビットカード「Krak Card」の展開を英国および欧州連合(EU)で開始した。
この新しいデビットカードは、ユーザーがKrakenのアカウントから直接、ビットコインやステーブルコインを使用して日常の買い物を行えるようにするものだ。
Mastercardの広範なネットワークを利用しており、カード利用額に応じて最大1%のキャッシュバックを提供する。
Krakenは1月に決済サービス「Kraken Pay」を立ち上げており、今回のカード発行はその決済インフラをさらに拡張する動きとなる。
欧州市場での暗号資産活用を促進
Krak Cardは、同社が暗号資産インフラを一から構築したオールインワンのグローバルマネーアプリと位置付ける「Krakアプリ」の一部として提供される。
このアプリは法定通貨、暗号資産、ステーブルコインを含む300以上の資産に対応しており、160カ国以上での送受金が可能だ。
Krakenによると、1月のKraken Pay開始以来、1500万人のユーザーのうち20万人以上が決済機能を有効化しているという。
今回の製品展開は、EUの暗号資産市場規制(MiCA)の枠組みの下で行われており、これが欧州市場でのサービス提供を可能にする重要な要因となった。
Krakenのデビッド・リプリー共同CEOは、以下のようにと述べている。
「顧客が暗号資産で現実世界の商品やサービスをシームレスに支払いたいと望んでいるとし、Mastercardとの提携はそのビジョンを実現する大きな一歩だ」。
銀行機能に代わる包括的な金融サービスへ
Krakアプリは決済機能に留まず、DeFiプロトコルへの接続を通じて年利10%超を目指す「Krak Vaults」や、IBANを通じた給与の直接受け取り機能も備えている。
また、「Kraktag」と呼ばれる独自の識別子を使用することで、銀行口座の詳細を明かすことなく資金を受け取ることが可能だ。
これにより、従来の銀行サービスに代わる選択肢としての地位を確立しようとしている。
Krakenは自社が銀行ではなく、預金保険の対象外であることを強調しつつも、ユーザーの法定通貨は1対1で保管されていると説明している。
同社はマーケティング資料において、Krakを「従来の金融の親しみやすさと暗号資産の革新性を組み合わせた、あらゆるもののための口座」と表現している。
この包括的なアプローチは、伝統的な金融と暗号資産エコシステムの橋渡しを目指す同社の野心を反映している。
今後も、ビットコイン(BTC)などの主要銘柄の利便性向上に注力していく方針だ。