ドイツ銀行予測、ビットコインが2030年迄に中央銀行の準備資産に

ドイツ銀行は7日、2030年までに世界の中央銀行がビットコイン(BTC)と金を中核的な準備資産に含める可能性があるとの新レポートを公表した。
ビットコインは、20世紀に金が果たした役割と同様に、金融安全保障の新たな柱として機能する可能性がある。
同レポートは、ビットコインと金は米ドルに取って代わるものではなく、補完的な資産として機能すると強調している。
「21世紀の金」としてのビットコイン
ドイツ銀行のアナリスト、マリオン・ラボウレ氏とカミラ・シアゾン氏は2025年10月7日に調査レポートを発表した。
その中で、ビットコインが2030年までに金と並んで中央銀行の準備資産の中核をなす可能性があると予測している。
ビットコインのボラティリティが「歴史的な低水準まで低下」し、固定された供給量や伝統的資産との低い相関性など、金に似た特性を強めていることも指摘。
アナリストは「戦略的なビットコインの配分は、20世紀の金の役割を反映し、現代の金融安全保障の礎として浮上する可能性がある」と明言した。
この予測は、ビットコインの価格が2025年10月6日に過去最高の125,000ドルに急騰したことを受けたものだ。
ドイツ銀行はこれを相対的なボラティリティの低下と関連付けている。
レポートは、ビットコインと金が中央銀行の準備資産において米ドルを代替するものではないと明確にしている。
これは中央銀行の歴史的な分散戦略に沿ったものだ。
また、米国ストラテジー社などの企業による「ビットコイン財務戦略」の採用が、機関投資家による評価を促進するきっかけとなっていることにも言及した。
準備資産化を後押しする3つの要因
ドイツ銀行の予測を支える主な要因は3つある。
第一に、政治的な不確実性とドル安の中で、中央銀行が米ドル準備資産の代替を模索しており、脱ドル化の傾向が加速していることだ。
レポートは、中央銀行による金の継続的な購入は「政治的不確実性に対するヘッジ」としての金の役割が動機であると指摘する。
第二に、資産クラスとしてのビットコインの成熟が挙げられる。
ボラティリティの低下、流動性の向上、供給量の固定化により、「何の裏付けもない」という主要な反論が弱まっている。
アナリストは、ビットコインにキャッシュフローがないことは認めつつも、そのボラティリティ指標は今や伝統的な準備資産に類似していると反論している。
こうした成熟は、他の暗号資産(仮想通貨)への見方にも影響を与える可能性がある。
第三に、企業の財務資産としての保有を含む機関投資家の採用が、歴史的な金の蓄積を反映した「戦略的価値」の枠組みを創出した。
こうした動きは、一般的なビットコイン投資への信頼性を高める要因ともなっている。
この分析は中央銀行の分散化需要に牽引され、ゴールドマン・サックスが2025年10月に4,900ドル/オンスを目標、予測した金の現状も背景にある。
伝統的資産との違いと今後の展望
レポートは、ビットコインが伝統的な資産と根本的に異なる点を明確に指摘している。
現金や債券、不動産とは異なり、「所有者に原資産、利子、キャッシュフローに対する権利を与えるものではない」。
しかしドイツ銀行は、この構造的な違いは、マクロ経済の衝撃に対して回復力を示すようになったビットコインの市場行動によって緩和されると主張する。
このレポートはビットコインの今後について、2030年までのタイムラインは継続的なボラティリティの低下と規制の明確化にかかっていると指摘する。
アナリストは、中央銀行が金準備を数十年にわたって統合したように、ビットコインも段階的に採用するだろうと強調した。
この予測は、各国の中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)は対象外であり、非国家的な準備資産としてのビットコインの可能性に焦点を当てている。