ソラナ財団、手数料代理払いツール Kora を発表

ソラナ財団は23日、エコシステム向けの新たな手数料委任プロトコルおよび署名ノードインフラ、Koraを正式に公表した。
ブロックチェーン利用時の手数料問題を解消し、ユーザー体験の向上を目的とした新基盤となる。
手数料の代理払いでユーザー体験を改善
Koraは、ブロックチェーンにおけるオンボーディングの障壁を下げるために設計されたツールだ。
dAppsや企業などの第三者が、エンドユーザーに代わって取引手数料を負担できる仕組みを提供する。
ソラナのアカウントモデルでは従来から理論上は可能だったものの、手数料支払いの委任やリモート署名を標準化する仕組みは存在しなかった。
Koraは、既存の優先手数料メカニズムを拡張し、委任された支払者のロジックを公式に導入している。
これにより、ユーザーは自身のウォレットにソラナ(SOL)を保有していなくてもアプリを利用できる。
スポンサーがガス代を負担することで、利用開始時の摩擦が大幅に低減される。
また、USDCなどのステーブルコインを含むSPLトークンでの手数料支払いにも対応する。
取引コストは約0.00025ドルとされ、ソラナの高スループットと400ミリ秒未満のファイナリティを最大限に活用する設計となっている。
AI経済と決済市場への影響
Koraの登場は、マイクロトランザクションやAIエージェント経済の拡大を見据えた動きといえる。
従来のガス代モデルは、頻繁かつ自動化された取引において大きな摩擦となっていた。
ソラナラボ共同創設者のアナトリー・ヤコヴェンコ氏は、最近の議論でこの点について以下のように強調する。
手数料の委任はエージェント経済を解放し、人間の介入なしに機械同士が支払いを行うことを可能にすると述べている。
この見解は、2030年までにAIとブロックチェーンの価値が20兆ドルに達するというPwCの予測とも重なる。
Koraは、こうした次世代経済インフラの基盤技術として位置付けられている。
発表のタイミングは、x402決済プロトコルエコシステムの成長とも重なった。
同エコシステムは時価総額9億ドルを超え、週間取引数は120万件に達している。
ソラナはその約40%を占めており、Koraの統合によってさらなる利用拡大が期待される。
実用的な機能と今後の展開
Koraには、委任された支出の管理や予算設定を行えるスポンサーダッシュボードなど、実運用を想定した機能が含まれている。
ゲームギルドやDeFiプロトコルが新規ユーザーを取り込む際のツールとしても有効だ。
システムは最大6つのリモート署名者をサポートし、資金不足を通知するインジケーターも備える。
セキュリティ面では、ソラナのPDAシステムを活用し、手数料保管庫を分離して管理する。
Neodymeなどの専門企業による監査も実施されており、安全性への配慮がなされている。
初期ドキュメントでは、HeliumによるIoT決済やRenderのGPUレンタルなど、実世界での活用例も紹介された。
ソラナ財団は、SuperteamDAOを通じたコミュニティ助成金を来週から開始し、2026年第1四半期までに100以上のプロジェクトを支援する計画だという。
イーサリアム(ETH)の類似機能と比べ、最大90%のコスト削減が見込まれており、決済インフラにおける重要な進歩として注目されている。