アリババ、JPモルガンと提携|AI強化とトークン決済を導入へ

アリババグループホールディングが運営するB2Bマーケットプレイスのアリババは14日、グローバルプラットフォームの大幅な技術強化を発表した。
アリババが目指すB2B取引の革新
CNBCの報道によると、同社のクオ・ジャン社長は12月に「AI Mode」を導入。
企業が自然言語で問い合わせるだけで技術仕様や物流要件、価格データを分析できるようにする計画を明らかにした。
この取り組みの中心となるのは、非構造化データを解釈し、数秒で最適なサプライヤーを推薦するマルチモーダルAIプラットフォーム「Accio」である。
従来は数週間を要した調達プロセスの大幅な短縮が見込まれる。
アリババはさらにJPモルガン・チェースと提携し、越境B2B取引向けにトークン化された決済システムを導入する。
米ドルやユーロなど主要通貨のトークン版を統合し、価格変動リスクを抑えた決済を実現する。これらは実質的にステーブルコインとして機能する。
この技術は、JPモルガンが構築したブロックチェーン基盤JPMコインシステムを活用する。
同システムはすでに1日あたり10億ドル以上の取引を処理しており、高い信頼性を持つ。
暗号資産(仮想通貨)を活用した決済が実験段階を超え、実績のある金融インフラへ統合される点が特徴だ。
アリババはこの変革を通じて、従来の手数料中心の収益構造から、サブスクリプションモデルへ移行する方針を示している。
これはSalesforceやMicrosoftなど企業向けソフトウェア大手の成功例を踏襲した戦略で、仮想通貨投資の観点でも重要な指標となる。
収益化への具体的な計画と市場の反応
ジャン社長は「AI ModeとAccioを有料化し、2027年3月までに100万人の加入者を目指す」と述べ、限定的な無料トライアルを提供する予定だ。
同社は2025年末までに、アリババ上のすべての販売業者にAIツール採用を義務付ける計画も進めている。
アリババはB2Bプラットフォームの刷新と並行して、ChatGPTのように機能しつつアプリ内商取引を促進する新アプリ「Qwen」を展開。
これにより、より広範なAI戦略を推進している。
こうした発表にもかかわらず、14日のプレマーケット取引でアリババ株は1%以上下落した。
AIによるサプライヤー発見とブロックチェーン決済を組み合わせた取り組みは、調達から決済までの越境取引を一体的に効率化する試みとして注目される。