米財務長官、仮想通貨の黄金時代を宣言|規制緩和と技術革新が加速

米国のスコット・ベッセント財務長官は1日、同国が暗号資産(仮想通貨)の黄金時代に入ったと宣言し、政府としてブロックチェーン技術のさらなる革新と活用を推進していく姿勢を明らかにした。
今回の宣言は、デジタル資産を金融システムに統合するための法整備や政策措置の成果として行われた。
特に、決済手段としてのブロックチェーン活用や、金融インフラ近代化を図るための分散型コンピューティング導入が主要な取り組みとして挙げられる。
規制の転換と技術革新が後押し
ベッセント長官の発言は、7月18日に成立したGENIUS法と連動している。この法律はステーブルコインに規制の明確性を与え、米ドルと互換性のあるデジタル通貨を世界金融の基盤として位置づけるものだ。
GENIUS法の成立は、これまでの政権がとってきた制限的な政策から、政府が積極的に関与する体制へ転換する重要な節目となった。同法はステーブルコインをデジタル金融の重要要素として法的に位置づける。
ベッセント長官は、ブロックチェーン技術の活用により決済効率の向上と取引コストの削減が実現できると指摘。さらに、同技術は分散型システムの基盤を支える潜在能力を有し、米国のインフラ近代化において中心的役割を果たすと強調した。
今回の展開は戦略的な競争を背景としている。ステーブルコインをインターネットネイティブな決済手段として活用することで、他国の中央銀行デジタル通貨などの取り組みに対抗し、米ドルの世界的基軸通貨としての地位強化を目指している。
過去の政策を批判し、協調姿勢をアピール
ベッセント長官は、今回の黄金時代宣言を前政権の規制に敵対的な姿勢からの転換と位置づけた。同氏は、具体的に、オペレーション・チョーク・ポイント2.0やビットコイン(BTC)のマイニングに対する脅威を例に挙げ、過去の施策を仮想通貨との戦争と批判した。
この発表に先立ち、7月31日にはホワイトハウスがデジタル資産に関する報告書を公表した。報告書は、リスク軽減と技術革新促進の両立のために政府機関間の連携を重視する方針を示している。
また、ベッセント長官は7月30日に自身のSNSで「Crypto, Welcome Home」と題する動画を公開し、正式発表前に分散型金融への政治的支持が拡大している状況を示唆した。
この多角的な戦略は、規制緩和と戦略的インフラへの注力を両立させ、米国が仮想通貨導入の世界リーダーとなることを目指すものだ。