ストラテジー、BTC購入停止|準備金21億9000万ドル確保の真意

ストラテジー社は21日、米ドル準備金を大幅に増額した。同社は流動性を高めることで、市場環境の変化に備える姿勢を明確にしている。
現金準備の拡大とビットコイン保有状況
同社は先週、米ドル準備金に7億4800万ドルを追加した。これにより、準備金総額は21億9000万ドルに達している。
規制当局への提出書類によると、クラスA普通株式約454万株を売却したという。株式売却による手数料控除後の純手取り額は7億4780万ドルだった。
12月15日から21日の報告期間中、同社はビットコイン(BTC)の追加購入を行っておらず、保有量は67万1268ビットコインで据え置かれている。
平均取得価格は手数料込みで1ビットコインあたり7万4972ドルだ。
現在の市場価格に基づくと、同社のビットコイン保有額は600億ドルを超える水準となる。
ストラテジー社は依然として、上場企業として世界最大のビットコイン保有者である。
戦略変更の背景にある要因
今回の現金積み増しとビットコイン購入の一時停止には、複数の戦略的要因がある。
特に影響が大きいのは、MSCIが検討している指数組み入れ基準の変更案だ。
総資産の50%以上をデジタル資産が占める企業を主要指数から除外する可能性が指摘されている。
この基準が実施された場合、ストラテジー社から大規模な資金流出が起きる恐れがある。
同社は提案を、恣意的で差別的と批判しているものの、最悪の事態に備え、十分な流動性を確保する必要があると判断したようだ。
また、配当金の支払いや債務履行も現金確保の理由として挙げられる。
フォン・レCEOは以前、21ヶ月分の配当をカバーできる準備金を維持する方針を示していた。
市場の不確実性が高まる中、手元資金を厚くする姿勢が鮮明になっている。さらに、ビットコイン価格の変動も無視できない要素だ。
同社は2025年度の収益ガイダンスにおいて、想定するビットコイン価格レンジを15万ドルから、8万5000ドル~11万ドルへと引き下げている。
短期的には慎重な運営が続くものの、長期的なビットコイン蓄積戦略に変更はないとしている。
今後も資本市場を活用しながら成長を目指す方針だ。
こうした環境下では、企業の財務戦略だけでなく、個人による仮想通貨投資においても慎重な判断が求められるだろう。
ストラテジー社の動向は、今後も市場全体に大きな影響を与えそうだ。