ビットコイン、8.8万ドル割れで調整続く|年越し相場の行方を予想

ビットコイン(BTC)の価格は24日、過去24時間で約1%下落し、心理的節目とされる8万8000ドルを下回る水準で推移している。
注目されるのは、金・銀・銅といったコモディティが一時的に過去最高値を更新し、ナスダック総合指数も前日比0.45%上昇するなど、伝統的な金融市場が総じて堅調に推移している点だ。
その一方で、ビットコインのみが下落し、他の資産クラスとは対照的な独歩安の様相を呈している。
今回の下落圧力の背景には、暗号資産(仮想通貨)市場特有の構造的な需給要因に加え、マクロ経済を巡る不透明感が重なっているとみられ、市場参加者の慎重姿勢が強まっている。
年末要因による需給悪化がビットコイン相場の重荷に
足元のビットコイン相場では、年末特有の需給要因が下押し圧力として意識されている。
最大の要因は、いわゆるタックス・ロス・ハーベスティング(節税目的の損出し)だ。
市場関係者によれば、年末に向けて含み損のあるポジションを整理し、課税所得を抑えようとする動きが、流動性の低下するこの時期に集中しやすいという。
加えて、ポートフォリオマネージャーを中心に、休暇入りを前にリスク資産へのエクスポージャーを縮小する動きも強まっている。
特に、決算期のバランスシート上に仮想通貨を残すことを避けたい機関投資家の売却が、現物市場での売り圧力となっている可能性がある。
この流れは関連株式でより顕著だ。ストラテジー(MSTR)が4%超下落したほか、デジタル資産関連銘柄は総じて軟調に推移しており、ビットコイン以上に調整色を強めている。
デリバティブ調整とマクロ不透明感、神経質な地合い続く
デリバティブ市場でもポジション調整が進んでいる。
ビットコインおよびイーサリアム(ETH)の無期限先物では、未決済建玉(OI)が大幅に減少し、レバレッジの縮小が進行中だ。
過度な投機が後退すること自体は市場の健全化につながるが、一方で板が薄くなり、価格変動が増幅されやすい状況も生まれている。
目先のイベントとしては、今週金曜日に控える大規模なオプション満期が意識される。
市場全体の建玉に占める割合は大きく、通過するまでは方向感の乏しい、神経質な値動きが続く可能性がある。
10万ドル水準を見込む強気のポジションも依然として残存しているが、年末年始の流動性低下を踏まえれば、急変動が生じた場合でも一時的なものにとどまるとの見方が多い。
マクロ環境に目を向けると、米国の景気指標は底堅さを示す一方、インフレ再燃や利下げペースの鈍化への警戒感がくすぶっている。
こうした不確実性も、仮想通貨を含むリスク資産全体の上値を抑える要因となっており、年末の需給調整の行方を見極める局面が続きそうだ。
【12月24日最新】ビットコイン(XRP)価格の年末見通し
ここからは、直近のチャートの動きを踏まえつつ、ビットコインの今後の価格動向・年末に向けて想定される相場シナリオを整理する。
週足分析:100週移動平均線が示す強気トレンドの最終防衛ライン

出典:TradingView BTC/USD 週足(2022年~現在まで)
中長期の流れを示す週足チャートを見ると、2023年秋に20週移動平均線と100週移動平均線がゴールデンクロスを形成して以降、長期的な上昇トレンド自体は崩れていない。
足元では短期的な20週線を下回ったことで市場心理がやや弱気に傾いているが、より重要なのは100週移動平均線(約8万5500ドル付近)の動きだ。
この水準は過去に3度、下落を食い止めてきた実績があり、現在も長期トレンドを守る重要な支えとして意識されている。
このラインを維持できるかどうかが、年明け以降の相場の方向性を占う大きなポイントとなる。
ここで反発が確認されれば、押し目買いを狙う投資家の動きが活発化し、再び上昇基調に戻る展開も期待できる。
一方、週足のRSI(相対力指数)は37付近まで低下しており、売られすぎに近づいているものの、本格的な反転と判断するにはもう一段の材料が必要だ。
年末にかけての売り圧力を、この長期サポートが吸収できるかが最大の注目点となっている。
日足分析:短期は迷いの展開、20日線突破が鍵

出典:TradingView BTC/USD 日足(2025年4月~現在まで)
短期的な値動きを示す日足チャートでは、10月下旬に20日線と100日線がデッドクロスして以降、上値の重い展開が続いている。
11月後半には一時8万500ドル付近まで下落する場面も見られた。
12月に入ってからは、一時的に20日線を上抜けるなど下げ止まりの兆しもあったが、流れを変えるには至らず、再び同線の下で推移している。
現在は明確な上昇・下落の方向感が出にくいもみ合い局面で、市場参加者の様子見姿勢が強い状況だ。
上値の目安としては、現在の20日移動平均線が位置する8万9000ドル付近が最初の関門となる。
この水準を終値ベースでしっかり上抜けられるかが、短期的な流れが好転するかどうかの判断材料になる。
突破に成功すれば、次の目標として12月の高値圏である9万5000ドル付近が視野に入ってくるだろう。
一方、下値では8万4000ドル近辺が重要なサポートとなる。ここを日足実体で明確に割り込むようであれば警戒感が一段と強まり、8万ドル前後までの下押しも意識されやすくなる。