ストラテジー社、ビットコイン下落時の債務返済能力を強調

ストラテジー社は26日、ビットコイン市場の変動が続く中、同社のバランスシートの健全性を確認する声明を発表した。
独自の指標「BTC Rating」で安全性を強調
同社によると、ビットコイン(BTC)価格が平均取得単価である7万4000ドルまで下落した場合でも、保有する資産は転換社債の5.9倍をカバーできるという。
これを同社は「BTC Rating」と呼び、債務に対する支払い能力を示す指標として提示している。
さらに、価格が2万5000ドルまで暴落したとしても、カバー率は2.0倍を維持すると説明した。
現在、同社は約64万9870BTCを保有しており、これは現在の市場価格である1BTCあたり約8万7000ドルで計算すると、約560億ドルの価値に相当する。
この巨額のビットコイン準備金は、総額82億1400万ドルの転換社債を裏付けている。
最初の償還期限は2028年9月に予定されており、当面の資金繰りには余裕があるとの見方を示した。
同社の総負債は、複数の優先株シリーズを含めると約159億9300万ドルに達する。
現在のビットコイン価格水準において、ストラテジー社は総債務に対して3.6倍の連結BTC Ratingを維持していることになる。
これは、同社のビットコイン資産が負債総額を3倍半以上上回っていることを意味し、財務的な安全性をアピールする狙いがある。
市場からの圧力と財務リスクへの懸念
今回の発表は、市場からの厳しい圧力が高まる中で行われた。
金融サービス企業のMSCIは20日、総資産の50%以上をデジタル資産が占める企業をベンチマーク指数から除外する新ルールを検討していると発表した。
ストラテジー社のバランスシートにおけるビットコイン比率は約77%に達しており、この新方針の影響を直接受ける可能性がある。
2026年1月中旬の審査次第では指数から除外され、連動するファンドによる株式の強制売却が引き起こされる恐れがある。
また、S&Pグローバル・レーティングは10月、同社に対し「B-」の信用格付けを付与した。
その理由として、ビットコインへの集中度の高さやリスク調整後の資本力の弱さなどが挙げられている。
この格付けは、現状の債務履行能力は認めるものの、市場環境が悪化した場合のデフォルトリスクが高いことを示唆している。
同社の株価は10月のピークから49%下落しており、投資家の間ではレバレッジを効かせたポジションに対する懸念が広がっている。
試算では、ビットコインが現在の水準から71%下落し2万5000ドルになっても、保有資産の価値は約162億ドルとなり、転換社債の義務を果たせるとしている。
市場の一部では強制清算のシナリオを危惧する声もあるが、同社は財務の持続可能性を強く主張し続けている。
市場環境の変化に伴い、投資家は仮想通貨全体のトレンドを注視する必要があるだろう。
また、リスク分散の観点から、イーサリアム(ETH)など他の銘柄への関心も高まっている。