エンリベックス、予測市場RAINへ大規模投資|2億ドル超を調達

ナスダック上場のエンリベックス・セラピューティクスは24日、予測市場トークン「RAIN」を財務資産として保有する計画を公表した。
同社は、約2億1200万ドルの資金調達を私募形式で実施する。
この資金は、アービトラムネットワーク上の分散型予測市場プロトコルであるRAINトークンの購入に充てられる予定だ。
これは、予測市場に関連する暗号資産(仮想通貨)を財務戦略の中心に据える世界初の試みとなる。
調達額は、同社の時価総額である約2200万ドルから3100万ドルを大きく上回る規模だ。
バイオテクノロジー企業としての従来の事業に加え、デジタル資産の管理へ大きく舵を切ることになる。
予測市場への注目とRAINの選定
今回の発表で、エンリベックスはRAINを選定した理由について、同プロトコルが予測市場におけるインフラストラクチャになる可能性を挙げている。
分散型取引所におけるユニスワップのような役割を果たすと期待しているという。
RAINは、AI(人工知能)による結果判定やデフレ的な仕組みを持つ点が特徴だ。
AI技術とブロックチェーンの融合は昨今のトレンドであり、AI仮想通貨への関心は急速に高まっている。
予測市場の分野は、ポリマーケットなどの台頭により機関投資家からの関心が高まっている。
同社は、すでに確立されたプロジェクトではなく、初期段階にあるRAINへの関与を選択した。
これにより、投資家に対して新たな市場へのアクセスを提供する狙いがある。
このような動きは、発展途上の新しい仮想通貨を発掘する試みとして業界内で評価されている。
市場の反応と今後の展望
この発表を受け、RAINトークンの価格は一時120%以上急騰し、過去最高値を更新した。
著名企業の参入は、往々にしてこのような仮想通貨高騰の引き金となる。また、エンリベックスの株価も18%上昇するなど、市場は好意的な反応を示している。
従来の株式市場と新興の分散型市場の交差点に位置する戦略が注目を集めた形だ。
同社はあわせて、イタリアの元首相であるマッテオ・レンツィ氏を取締役会に迎えたことも明らかにした。
なお、今回の大規模な戦略転換の一方で、中核事業であるバイオテクノロジーの研究開発も継続するとしている。