バイナンス創業者CZ氏、FTXの2600億円訴訟で棄却を要求

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのチャンポン・ジャオ創業者は5日、競合だったFTXから起こされた17億6000万ドル規模の資金回収訴訟の棄却を求めた。
ジャオ氏の弁護団は、同氏がアラブ首長国連邦に居住しているため、米国の裁判所に管轄権はないと主張している。
この申し立ては、仮想通貨業界の2つの巨人の間で続く法廷闘争の新たな局面を示すものだ。
訴訟の背景とジャオ氏の主張
この訴訟は、2021年7月に行われた取引に端を発する。
当時、バイナンスとジャオ氏らは保有していたFTXの株式20%を、FTX自身に約17億ドル相当の仮想通貨で売却した。
FTXの破産財団は2024年11月、この取引がFTXの破綻直前に行われた詐欺的な資金移転であると主張し、バイナンスやジャオ氏らを相手取り提訴した。
これに対しジャオ氏側は、自身は取引における名目上の相手方に過ぎなかったと反論した。
弁護団は、この訴訟がデラウェア州や米国とほとんど関連性がなく、米国外での法適用を認める法的根拠も欠いていると指摘している。
バイナンスもこの疑惑を無意味だと一蹴し、法廷で徹底的に争う姿勢を表明した。
複雑化する法務問題と規制の動向
今回の訴訟は、FTX破産財団が進める広範な資金回収活動の一環とみられる。
財団は、FTXのサム・バンクマン=フリード創業者が破綻前に関与したとされる不適切な取引から、債権者のために資産を回収しようと努めている。
一方で、ジャオ氏とバイナンスは米国で他の法的問題にも直面している。
最近の最高裁判所の判断により、バイナンスが米国内で無許可で事業を行っていたとして投資家が損失を訴える集団訴訟の道が開かれた。
ジャオ氏個人も、効果的なマネーロンダリング対策プログラムを怠った罪で2023年に有罪を認めている。
4月には、コンプライアンス違反の重大な過ちを認めた上で、禁錮4ヶ月の判決を言い渡された。
バイナンス自体も2023年、マネーロンダリング対策法や制裁への違反を理由に、連邦政府に40億ドルを支払うことで和解しており、規制当局による厳しい監視は続いている。
このような大手取引所を巡る問題は、ユーザーが利用する仮想通貨取引所おすすめランキングなどにも影響を与える可能性がある。