仮想通貨ASTER、ウォッシュトレード疑惑で10%超の急落

人気の分散型無期限先物取引所アスターの独自トークンASTERは5日、過去24時間以内に10%下落し、1.86ドル(約273円)まで落ち込んだ。
この下落は、データ分析プラットフォームDeFiLlamaが、ウォッシュトレードの懸念を理由に同取引所のデータを削除したことが引き金となった。
DeFiLlamaは、アスター上の特定の通貨ペアの取引量が大手取引所バイナンスのデータと不自然に酷似している点が指摘され、透明性が改善されるまでアスターのデータ掲載を停止する方針を示している。
DeFiLlamaのデータ削除と市場の反応
DeFiLlamaの開発者である0xngmi氏は、アスター上のXRP/USDTやETH/USDTなどの取引量がバイナンスのデータと異常に相関していることを確認。
人為的な取引活動の可能性を警告していた。
DeFiLlamaは「データの完全性を守るため、透明性が確保されるまで無期限先物取引データを削除する」と説明しており、この決定が市場に波紋を広げた。
アスターはローンチからわずか2週間でオープンインタレストが50億ドル(約7350億円)に達した。
エアドロップキャンペーンを通じて200万人以上のユーザーを獲得したと報告されていたが、今回の件でその成長の信憑性に疑問が生じている。
売り圧力と集中化リスク
価格下落の直接的な要因はDeFiLlamaのデータ削除だが、他の要素も売り圧力を強めた。
アスターは第2弾のエアドロップを発表し、ASTER総供給量の4%をロックアップなしで即時売却可能にしたことが、市場の供給懸念を高めた。
またオンチェーンデータによると、6つのウォレットが総供給量の96%を保有しており、極端な集中化リスクが浮き彫りになっている。
さらに、バイナンス創業者チャンポン・ジャオ 氏がアドバイザーとして関与している事実も、市場心理を安定させるには至らなかった。
テクニカル分析では、5日時点でアスターは1.99ドル(約293円)で取引されており、複数の価格予測モデルが10月10日までに1.61ドル(約237円)まで下落する可能性を示唆している。
短期的な見通しは厳しいが、同トークンは過去30日で254.12%の上昇を遂げ、9月24日には史上最高値の2.41ドル(約354円)を記録していた。
アスターは今回の事態を受けて、新たな報酬システムや現物取引のインセンティブを導入する「ステージ3」アップグレードを発表している。
今後の鍵は、取引量の正当性を証明し、データの透明性という根本課題を克服できるかにかかっている。