トランプ大統領、バイナンスCZ氏恩赦も「誰か知らない」発言

ドナルド・トランプ米大統領は3日、CBSニュースのインタビューで、バイナンスCZ創設者に大統領恩赦を与えたにもかかわらず、彼が誰であるか知らないと主張した。
トランプ氏は先月、マネーロンダリング違反で有罪判決を受けたチャンポン・ジャオ氏に大統領恩赦を与えていた。
トランプ氏は「バイデン政権による魔女狩りだった」と述べ、「その男を全く知らない。会ったことがあるとも思わない」と付け加えた。
ジャオ氏は2023年に銀行秘密法違反を幇助した罪を認め、恩赦を受けるまで約4カ月間服役していた。
トランプ一家の仮想通貨企業との関係
この恩赦を巡る論争の背景には、トランプ一家とバイナンスの複数の接点がある。
CBSニュースによると、バイナンスは5月にトランプ一家の暗号資産(仮想通貨)WLFIと事業提携を結び、20億ドル規模の取引を行っていた。
恩赦に関する利益相反の可能性を問われた際、トランプ氏は懸念を一蹴したものの、「その質問はしてほしくないが、させてあげよう」と認めた。
エリザベス・ウォーレン上院議員らはこうした金銭的な結びつきから、この恩赦はペイ・フォー・プレイの関係を例証するものだと批判している。
監視委員会を率いる共和党のジェームズ・コマー下院議員は、ジャオ氏を知らないというトランプ氏の主張に懐疑的な見方を示した。
恩赦後の動きと米国の仮想通貨戦略
恩赦を受けた後、ジャオ氏はトランプ氏に感謝の意を表明し、「米国を新しい仮想通貨の首都にするために、我々ができる限りのことをする」と約束した。
トランプ一家の企業ワールド・リバティ・フィナンシャルは、ジャオ氏の恩赦確保への関与を公式に否定している。
トランプ氏は、米国が仮想通貨分野での競争力を維持するために恩赦は必要だったと擁護し、「米国が仮想通貨のリーダーであってほしい」と語った。
インタビューで汚職の様相について追及されると、トランプ氏は懸念していないと答えたが、その質問には不快感を示したように見えた。
今回の恩赦は、トランプ氏が現職中に下した注目度の高い恩赦決定の一つ。
政権はこれを前政権による政治的動機に基づく訴追を是正するものと位置づけている。