トランプ政権、仮想通貨の新政策レポートを7月に発表へ

トランプ政権は7月21日頃、暗号資産(仮想通貨)に関する初の主要な政策報告書を発表する見通しだ。
この報告書は、2025年1月23日に発令された大統領令14178号に基づき設置された「デジタル資産市場に関する大統領作業部会」が作成するものだ。
同作業部会は180日以内の報告書提出を義務付けられており、米国の仮想通貨政策を大きく転換させる内容となる可能性がある。
政策転換の背景と大統領令
報告書は、仮想通貨とブロックチェーン技術における「責任ある成長」への政権のコミットメントを示すものとなる。これは、詐欺や金融不安といったリスクを理由に厳格な監視を重視したバイデン前政権の方針とは一線を画す。
トランプ政権は、バイデン前大統領が2022年3月9日に署名した大統領令14067号を撤回した。この旧大統領令は、仮想通貨をリスクの高い資産と位置づけ、厳格な監督を求めるものだった。
新たな作業部会は、国家経済会議内に設置され、財務省、商務省、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)などの代表者で構成される。その主な任務は、ステーブルコインを含むデジタル資産の包括的な規制枠組みを提案し、既存の規制を評価して修正や撤廃を勧告することだ。
具体的な改革と国家戦略
政策転換の一環として、SECはマーク・ウエダ委員長代行の下で「暗号資産タスクフォース」を新設した。これにより、従来の「執行による規制」から、情報開示や登録方法に関する明確なガイダンスを提供するアプローチへの移行を目指している。
また、物議を醸した会計指導「SAB 121」の撤回も行われた。この措置により、仮想通貨カストディアンは、保護する資産を負債として開示する必要がなくなり、コンプライアンスの負担が軽減される。
国家戦略の観点からは、2025年3月6日の大統領令14233号で示されたように、政府が保有する資産を活用した「戦略的ビットコイン(BTC)リザーブ」の検討を進める。一方で、議会の明確な承認なしに連邦機関が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を開発・支援することは禁止される。
この新しい枠組みは、米国の国際的な仮想通貨基準への関与についても言及する予定だ。仮想通貨業界の支持者らは、この報告書が規制の明確化に向けた画期的な一歩であり、前政権の慎重なアプローチとは対照的であると歓迎している。