TLGY、ステーブルコインXと合併しナスダック上場へ

特別買収目的会社（SPAC）であるTLGYアクイジション・コーポレーションは21日、ステーブルコインXアセッツとの最終的な合併契約を締結した。この合併により、新会社「StablecoinX Inc.」が設立される。

新会社はナスダック・グローバル・マーケットにティッカーシンボル「USDE」で上場する計画だ。ステーブルコインXアセッツは、イーサリアム上に構築された合成ドルプロトコルであるエテナのエコシステムで、バリデーターおよびインフラ提供者として機能している。

合併の背景と財務戦略

今回の取引には、約3億6,000万ドルのPIPE（私募増資）が含まれる。内訳は現金2億6,000万ドルと、割引価格でロックアップされた1億ドル相当のEthena（ENA）トークンである。

StablecoinXは、この3億6,000万ドルの資金を複数年にわたる資本配分戦略に基づき、エテナのガバナンストークンであるENAを長期的な準備資産として蓄積する方針だ。

これにより、同社はステーブルコイン分野を対象とする初の「専業財務企業」として公開市場に登場することになる。

このPIPEには、Pantera Capital、Galaxy Digital、Dragonfly、Ribbit Capital、Haun Ventures、Polychainといった著名な仮想通貨ベンチャーキャピタルが参加している。

エテナエコシステムとの連携と市場での位置付け

合併後、エテナ財団はStablecoinXの議決権の過半数を維持し、PIPEにも6,000万ドル（約88億2,000万円）相当のENAトークンを拠出する。

さらに、両者は5年間の再生可能なパートナーシップを締結し、ステーキングサービスやプロトコルインフラなど、StablecoinXの事業をエテナの発展に連携させる。

エテナが発行するステーブルコインUSDeは、市場規模が61億ドル（約8,967億円）に達し、Tether（USDT）とUSD Coin（USDC）に次ぐ第3位のオンチェーンステーブルコインとなっている。

この合併は、分散型ステーブルコインへの需要の高まりを活用し、公開市場の投資家に規制された形でエコシステムへのアクセスを提供することを目的としている。このような新しいプロジェクトへの仮想通貨投資は、市場の注目を集める可能性がある。

合併手続きは、TLGYの株主承認や規制当局の許可などを条件として、2025年第4四半期に完了する見込みだ。合併後の新会社は、TLGYのヤング・チョーCEOが率い、エテナ財団との共同投資委員会が財務業務を監督する体制となる。