デジタル資産財務企業の資金流入、ETH価格に強い影響|英銀分析

スタンダードチャータード銀行は15日、デジタル資産財務(DAT)企業の資金流入が、ビットコインやソラナよりもイーサリアムの価格を強く動かす可能性が高いとの分析を明らかにした。
DAT企業の市場純資産価値が最近下落しており、これが市場の差別化と統合を引き起こす見込みだ。
スタンダードチャータード銀行は、企業財務で多額の暗号資産(仮想通貨)を保有する企業をDATと定義。これにはストラテジー社、ビットマイン社、メタプラネット社などが含まれる。
分析の中心となるのは市場純資産価値(mNAV)だ。これは企業の価値とその企業が保有する仮想通貨の価値との比率を示す指標である。mNAVが1を上回ると、企業は新株を発行して仮想通貨の購入を続けることができる。
しかし、この水準を下回ると、保有資産の拡大は著しく困難になる。
同行は「DATの資金流入は、ビットコイン(BTC)やソラナ(SOL)よりもイーサリアム(ETH)の価格を押し上げる要因としてより強力に働くだろう」と指摘。
仮想通貨を購入する企業の財務活動に対して、イーサリアムの価格が他の主要な資産よりも敏感に反応することを示唆している。
市場飽和が招く淘汰とイーサリアムの今後
DATセクター全体でmNAVが圧縮された主な要因として、同行は市場の飽和を挙げた。ストラテジー社の成功が89社の模倣企業を生み、過当競争を引き起こしたと分析している。
これに加え、投資家の警戒感の高まりや、小規模企業の持続不可能な事業モデルもmNAVの下落に影響を与えている。
同行は「複数の著名なDAT企業が最近、重要なmNAV水準を下回り、購入を続ける能力が事実上閉ざされた」と警告した。
mNAVの下落に伴う市場の差別化は、最大手、最も安く資金を調達できる企業、そしてステーキング利回りを持つ企業に有利に働くとみられる。
これにより、低コストの資金調達を維持できるストラテジー社のような既存の大手企業が優位に立つ可能性がある。
市場では大幅な統合が差し迫っているとの見方が示された。強い企業だけが生き残る状況の中、ストラテジー社のような大手は、mNAVの崩壊で割安になった競合他社を買収することで、積極的な資産拡大戦略を進めていく構えだ。
同行の分析によれば、ストラテジー社は分析時点で63万8985 BTC、約730億ドル相当を保有しており、引き続き市場で圧倒的な存在感を放つ。
DATの活動はかつて複数の仮想通貨にとって強気材料と見なされていたが、その熱気は薄れつつある。
それでもなお、同行の調査は、イーサリアムについては今後もDATの継続的な動きが価格形成に影響を与え続けると結論付け、ビットコインやソラナとの差別化要因になると見ている。