ソラナ、次期大型アップグレードに備えネットワーク性能強化へ

ソラナ(SOL)のバリデータークライアントを開発するAnzaは24日、ネットワーク性能を最適化する新バージョン「Agave v2.3.8+」を公開した。
今回のアップデートは、高速処理可能なデータ経路であるXDPに対応し、ブロック伝播を高速化する。
これは、年内に予定されている大型アップグレードSIMD-0286に向けた重要な準備段階となる。
ブロック容量66%増強へ
GitHubのリリースノートによると、このアップデートにはネットワーク全体のブロック伝播を加速させるための修正が含まれている。
SIMD-0286は、ソラナのブロック計算上限を現在の6000万CUから1億CUへと引き上げる提案だ。実現すれば、処理能力は66%向上する。
この提案は2025年5月にGitHub上で公開されたものであり、ソラナのスケーリング計画の一環として進められている。
Agaveはソラナネットワークの参加者が使用するバリデータークライアントで、今回の更新はプロトコルのアップグレードに不可欠なステップだ。
リリースはメインネット・ベータでの使用に適した安定版とされている。しかし、サポートが終了したOSからのインフラ更新も求められており、バリデーターは対応が必要となる。
過去の混雑問題とソラナの今後の展望
この変更の背景には、ソラナが過去に経験した暗号資産(仮想通貨)ネットワークの混雑問題がある。2021年9月には大規模なネットワーク障害が発生し、それ以降、段階的にブロック上限を引き上げる対策が講じられてきた。
イーサリアム(ETH)など他のブロックチェーンとの競争が激化する中、ソラナは現在毎秒2000件以上の取引を処理しているが、さらなる拡張が求められている。
SIMD-0286は将来のネットワーク遅延を軽減する可能性を秘めており、特に高い計算能力を要するDeFiアプリケーションに大きな利点をもたらす。
バリデーターコミュニティは性能向上とネットワーク安定性のバランスを重視しており、慎重なテストを求めている。
SIMD-0286の提案は現在もGitHubで議論が続いており、最終的な導入にはコミュニティによる投票と承認が必要だ。ソラナの今後は、こうした技術的な課題克服にかかっている。