リップル社の新ステーブルコイン「RLUSD」、17日にローンチ

リップル社は17日、米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」の一般提供を開始する。
5日にニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)からの最終承認待ちを理由に発行延期を発表していたが、10日には最終承認を受理。各取引所での利用が開始される。
段階的な取引所上場と世界展開戦略
RLUSDは米ドル預金、米国債、現金等価物による裏付けを特徴とし、リップル(XRP)が抱える価格変動や法的リスクを回避する、安定した決済手段として期待されている。
テザー社のテザー(USDT)、サークル社のUSDコイン(USDC)などが中心となっているステーブルコイン市場への、大手金融テクノロジー企業による本格参入としても注目を集めている。
RLUSDの取引所での展開は、段階的に進められる。初期段階ではUphold、MoonPay、CoinMENAなどの取引所で利用可能となり、その後も徐々に拡大予定だ。
リップル社のステーブルコイン部門を率いるジャック・マクドナルド上級副社長は、同社が買収した「Standard Custody & Trust Company」のライセンスを活用し、規制準拠を重視した展開を進める考えを示している。
金融の専門家を迎え、強力な諮問委員会を組成
リップル社は、ステーブルコイン諮問委員会の新メンバーとして、2名の金融専門家の参画を発表した。元インド準備銀行総裁のラグラム・ラジャン氏と元ボストン連邦準備銀行第一副総裁兼COOのケネス・モンゴメリー氏が加わり、既存の委員会を強化する。
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは「リップル社が、世界最高の規制基準とみなされているNYDFSのもとで、ステーブルコインを立ち上げるという意図的な選択をした」と述べ、規制準拠への強いコミットメントを示している。
さらに「米国が明確な規制整備に向けて動き出す中、RLUSDが真の実用性を提供し、ステーブルコインの普及が拡大することを期待している」と付け加えた。
初期の価格変動リスクと市場への警告
一方で、RLUSDの発行開始に際し、同社のデビッド・シュワルツCTOは警告を発している。発行初期において需要と供給のバランスが崩れ、価格の大幅な変動が生じる可能性があるという。一部のトレーダーが1トークンあたり1200ドルという異常な高値を付ける可能性も指摘されている。
シュワルツ氏は「市場が安定するまでのごく初期に供給不足に陥る可能性がある」と警告し、「取り残される恐怖(FOMO)からステーブルコインに投機しないでほしい。これは一攫千金のチャンスではない」と強調している。
RLUSDの登場は、伝統的金融機関のデジタル資産市場への参入が加速する中で、規制準拠と実用性を重視した新たなステーブルコインの選択肢を提供するものとして、市場関係者から注目を集めている。