ETHZilla、自社株買いでETH4千万ドル売却

ETHZillaは27日、自社株買いの資金を調達するため、保有する約4000万ドル相当のイーサリアム(ETH)を売却したと明らかにした。
同社は売却実行後、既存の取締役会が承認した2億5000万ドルの自社株買いプログラムに基づき、約1200万ドルで約60万株の普通株式を取得した。
ETHZillaは、NAVに対する株価の割引が正常化するまで、ETHの売却と自社株買いを継続する意向だ。
今回の売却後も、同社は貸借対照表上に約4億ドル相当のETHを維持しており、将来の戦略的取り組みに活用するとしている。
発表時の同社株価は20.65ドルで、時価総額は3億3400万ドルだった。
株価と純資産価値の乖離が背景に
今回の決定の主な要因は、同社の株価とNAVの間に生じた著しい乖離である。
複数の情報源によると、その割引率は30%に達していた。
ETHZillaのマカンドリュー・ルディシルCEOは、「貸借対照表の強みを活かし、ETH保有量を減らすことで自社株買いを実行している。当社の普通株式がNAVに対して大幅なディスカウントで取引されている中、ETHの売却で調達した現金を用いることで、この自社株買いは即座に利益をもたらすと期待される」と説明した。
同社は株の貸借取引に利用可能な株式数を減らしつつ、1株当たりのNAVを高めることを目指す。
今回の戦略は、ボラティリティの高い仮想通貨市場において、株主価値を保護するための重要な一手と評価できる。
市場全体を見ると、デジタル資産関連セクターは厳しい圧力にさらされている。
多くの関連銘柄が保有資産の純資産価値を下回って取引されており、ETHZillaの株価も8月のピーク時から最大90%下落していた。
InvestingProの分析によれば、流動比率0.58、株価純資産倍率50.97という財務指標が、同社の財務健全性スコアが1.61と低い一因となっている。
発表後の市場の反応と今後の戦略
この発表は市場で大きな反応を呼び、ETHZillaの株価は10月27日の通常取引で14.5%上昇し、時間外取引でもさらに12%上昇した。
同社は最近、2025年10月20日付で10対1の株式併合を実施し、発行済み株式数を約1億6000万株から約1600万株に削減している。
また、ETHZillaは他の戦略的な動きも公表している。
Liquidity.ioの親会社であるSatschel社への1500万ドルの出資を含む提携や、リキッドリステーキングプロトコルのPufferへ4700万ドル相当のETH展開する計画だ。
最近では、ラザードの投資銀行部門のジェイソン・ニュー副会長を取締役会に迎え、グローバルなクレジットやプライベートエクイティ分野での経験を取り入れた。
同社は、伝統金融と分散型金融(DeFi)のエコシステムを繋ぐことで、新たな価値創造を目指している。
注目すべきは、ETHZillaがETHを売却した際の価格が約3900ドルだった点だ。
その後、ETHの価格は一時4250ドルまで上昇し、約4150ドルで落ち着いた。
このタイミングは、純粋なETHの評価額という観点では最適ではなかった可能性があるが、自社株買いという戦略的な取り組みにとっては有益な判断だったとみられる。