マイクロストラテジーのセイラー氏、米国の仮想通貨戦略を提言

世界最大級のビットコイン保有企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はこのほど、米国における暗号資産(仮想通貨)の規制と成長に関するフレームワークを発表した。
このフレームワークでは「デジタル資産市場の発展を加速させながら、国家債務の相殺を達成する」という目標が掲げられている。
デジタル資産の分類体系の確立を重視
マイクロストラテジーは、約44万4262BTC(約436億ドル相当)のビットコイン(BTC)を保有する米国の企業だ。同社のセイラー氏が提案するフレームワークは、デジタル資産の明確な分類体系の確立を目指している。
具体的には、ビットコインのような「デジタルコモディティ」、証券に裏付けられた「デジタル証券」、法定通貨に裏付けられた「デジタル通貨」など、6つのカテゴリーを定義している。この分類により、規制当局と市場関係者の間で共通理解を形成し、効率的な政策立案を可能にすることを目指す。
フレームワークは、規制遵守にかかるコストを厳格に制限することで、市場関係者の負担を軽減する方針を打ち出している。資産発行コストをAUM(運用資産残高)の1%以下に抑え、年間維持費用を10ベーシスポイント以下に制限するという提案は、市場の効率性向上に寄与すると期待されている。
国家戦略としてのデジタル資産活用
セイラー氏は、ビットコインの「戦略的準備金」が米国の国家債務削減策として機能し得ると主張。ビットコインを積極的に保有することで、数十兆ドル規模の利益がもたらされ、債務の圧縮につながる可能性があると予測している。
さらに、デジタル資本やデジタル通貨市場を拡大することで、米ドルがグローバルなデジタル経済の基盤となり、国際的な競争力を一段と高められる見通しも示している。
同氏の構想が実現すれば、数時間から数日単位で新たなトークンを発行できるようになり、資本調達のハードルが大幅に下がる。多種多様な企業が暗号化された資産を発行し、小規模ビジネスやアーティストが新たな収益源を生み出すチャンスも広がると期待されている。