日本ブロックチェーン協会、仮想通貨の税制改正を政府に要望

日本ブロックチェーン協会(JBA)は18日、暗号資産(仮想通貨)に関する税制改正要望書を政府に提出した。
この要望は、日本のブロックチェーン業界を代表する団体によるもので、仮想通貨への課税を株式などの金融資産と同等にすることを求める内容だ。
国際競争力と人材流出への懸念
要望の中心は、個人の仮想通貨取引で得た利益への課税方式の変更だ。
現在は他の所得と合算して税率が決まる総合課税で、税率は最大55%に達する。
これを株式などと同様に、一律20%の申告分離課税にすることを求めている。
この動きは、金融庁が2025年までに同様の税率引き下げを提案している流れと一致する。
日本の高い仮想通貨税率は、企業や有能な人材がシンガポールなど税制上有利な国へ流出する一因となってきた。
今回の税制改正の提案は、国内に企業を留め、新たな事業を呼び込む狙いがある。
金融庁が2024年から2025年にかけて、仮想通貨を金融資産として再分類する動きを見せていることも、JBAの要望を後押ししている。
制度的な裏付けが、公平な税制への移行を現実的なものにする。
世界的に見ても、韓国が仮想通貨への課税開始を2027年まで延期し、タイが一部非課税措置を導入するなど、各国の対応は様々だ。
日本が先進的な税制を導入すれば、アジア地域における仮想通貨投資先進国としての地位を確立できる。
具体的な要望内容と将来への影響
JBAは税率変更に加え、仮想通貨損益通算も要望している。
これは、ある年に出た損失を最大3年間、将来の利益と相殺できる仕組みだ。
また、仮想通貨同士の交換時には課税を繰り延べる措置も求めている。
法人税については、4月から企業が期末に保有する仮想通貨の含み益が課税対象外となり、企業の事務負担はすでに軽減されている。
今回の個人向け税制改正が実現すれば、業界全体の活性化が期待される。
税負担が軽くなることで、TRC-20規格のテザー(USDT)のようなブロックチェーン基盤の決済手段が、国際的な取引でさらに普及する。
これにより、日本におけるWeb3分野の技術革新が加速することも見込まれる。
JBAの要望は、持続可能な仮想通貨エコシステムを構築し、日本が世界的なデジタル資産の拠点となるための戦略的な一歩と言える。