イーサリアム財団、年間支出上限15%の新財務戦略を発表

イーサリアム(ETH)
暗号資産ライター
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イーサリアム財団は4日、年間運営費を総資産の15%に制限し、2.5年分の運営費バッファーを確保する新たな財務政策を発表した。

財団は現在約9億7000万ドル(約1390億円)の資産を保有しており、その大部分をイーサリアム(ETH)で運用している。

新政策は同財団が長期的な管理者としての役割を維持しながら、エコシステム開発と財務健全性のバランスを図る内容となっている。

反循環的アプローチで市場変動に対応

財団は市場環境に対して反循環的なアプローチを採用し、市場低迷期には支援を拡大し、強気相場では支出を抑制する方針を示した。財団は2025年から2026年を「イーサリアムにとって極めて重要な時期」と位置づけ、重要な成果物への集中的な取り組みが必要であると表明している。

新たな財務政策は2つの変数を基盤として構成されている。変数Aは年間運営費を総財務資産の15%に設定し、変数Bは2.5年分の運営費バッファーを表す。

この組み合わせにより目標法定通貨準備金を算出し、暗号資産(仮想通貨)の売却額と保有額を決定する。

財団は四半期ごとに資産の偏差を計算し、必要に応じて向こう3か月間のETH売却量を決定する。これらの売却は通常、法定通貨への換金やオンチェーンでのステーブルコイン交換によって実行される。

DeFiエコシステムへの積極投資

財団はETHのソロステーキングや確立された貸付プロトコルへのwETH(ラップドイーサリアム)供給を通じて、収益創出を図る戦略を明らかにした。また、ステーブルコインの借り入れやオンチェーンでのより高い利回り追求も計画している。

この動きは分散型金融(DeFi)エコシステムへの財団の関与拡大を示しており、従来の中立的立場から一歩踏み出した積極的な姿勢を表している。

財団は「デファイパンク」と呼ぶ新たな枠組みを通じて、プライバシー、セキュリティ、オープンソースソフトウェア、自己管理、分散型ユーザーインターフェース、最大限に信頼不要なコアロジックといったDeFiの核心原則を維持することを目指している。

透明性向上と継続的見直し体制

新政策では透明性の向上も重要な要素として位置づけられている。財団は四半期ごとの財務報告と年次戦略レビューを含む構造化された報告体制を確立し、ETH売却についても事前通知を行う予定だ。

財団の内部開発チームの再編成も発表されており、新たな共同執行責任者体制の下でプロトコル開発チームの新リーダーシップが任命された。この組織改革は更新されたロードマップとの整合性を図るものとなっている。

年間支出率の段階的削減は、イーサリアムの成熟と財団の役割の明確化を反映したものだ。長期的な5%という目標は、寄付基金型組織で一般的な水準であり、財団がより持続可能な運営モデルへの移行を目指していることを示している。

この政策変更は、コミュニティからの透明性向上要求や近年のETH売却に対する批判を受けて策定されたものとなっている。

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