テザー、米国規制準拠のステーブルコイン「USAT」を発表

ステーブルコイン発行大手のテザーは25日、米国市場向けの新たな米ドル連動ステーブルコイン「USAT」を2025年12月にローンチする計画を発表した。
この動きは、同社が米国の規制環境へ本格的に対応し、市場への参入を強化する戦略の一環である。
GENIUS法に準拠した米国市場向け戦略
新しいステーブルコインであるUSATは、米国の「GENIUS法」規制に完全に準拠するよう設計されている。
発行は、テザーと連邦政府公認の暗号資産(仮想通貨)銀行であるアンカレッジ・デジタルとの合弁事業「Tether America」を通じて行われる。USATは米ドルと1対1で裏付けられ、その準備金はコンプライアンスと透明性を確保するため、キャンターフィッツジェラルドが管理する。
この取り組みを主導するため、同社はボー・ハインズ氏をTether AmericaのCEOに任命し、米国内の市場拡大を推進するための米国本社を設立した。
USATは、現在1,820億ドル(約27兆8,460億円)の流通量を誇る同社の主力製品USDTとは異なる、米国市場に特化した製品ラインとなる。
クリエイターエコノミーでの普及を目指す
USATの開発は、GENIUS法による規制の枠組みが主なきっかけとなった。テザーは2024年に動画プラットフォーム「Rumble」へ7億7,500万ドル(約1,185億7,500万円)の戦略的資金提供を行っており、同プラットフォームが重要な配布チャネルとなる。
Rumbleは、ビットコイン(BTC)など仮想通貨でのチップ機能を備えた新しいウォレットを統合し、5,100万人の米国月間ユーザーにUSATを提供する。
テザーのパオロ・アルドイーノCEOは、Rumble以外にもコンテンツやソーシャルプラットフォームへの追加で2〜3件の資金提供を検討していると明言した。
同社は2025年12月までに米国で1億人のUSATユーザーを獲得するという目標を掲げている。この包括的なアプローチは、規制が強化される米国のデジタル資産市場で確固たる地位を築くための同社の強い意志を示している。