DBS、ETH上でトークン化仕組み債発行|1000ドルから参加可能

シンガポール最大のDBS銀行は21日、イーサリアム(ETH)のパブリックブロックチェーン上でトークン化された仕組み債を発行した。
対象は暗号資産(仮想通貨)に連動する構成で、ADDX、DigiFT、HydraXの各現地プラットフォームを通じて適格投資家および機関投資家に提供される。
機関投資家向けにアクセスを拡大
第1弾プロダクトは、価格上昇時に現金で決済され、下落時の損失を一定程度抑える設計の参加型債券だ。これにより投資家は、仮想通貨を直接保有せずに値動きへのエクスポージャーを得ることができる。
発行単位は1000ドル相当のトークンで、従来最低10万ドル程度を要した仕組み債に比べ、参入ハードルを大きく引き下げた。
DBSのプライベートバンキングにとどまらず、より広い投資家層へのアクセス拡大を狙い、トークン化を通じて新たな資本市場参加の機会を創出する。
イーサリアムの今後と金融業界の動向
今回の動きは、デジタル投資商品に対する市場の強い需要を背景としている。DBSによると、22025年上半期の顧客による暗号資産連動の仕組み債取引は10億ドル超となり、第1四半期から第2四半期にかけて約60%増加した。
DBSはこれまで、シンガポール金融管理局(MAS)が主導するプロジェクト・ガーディアンの下、許可型ブロックチェーンでの実証実験を進めてきた。 しかし、今回はイーサリアムというパブリックブロックチェーンに移行しており、戦略的な転換点といえる。
ただし、トークン自体へのアクセスは許可型を維持している。これは、イーサリアムのオープンなエコシステムで自由に流通させるのではなく、管理された環境下で提供することを意味する。
このアプローチは、規制を遵守しながら技術革新を推進するDBSの姿勢を如実に示している。
DBSの為替・デジタル資産部門責任者であるリー・ジェン氏は、2021年からトークン化の取り組みを積極的に推進してきたと語る。このような取り組みは、伝統的な金融サービスとDeFiが融合する未来を示唆するものだ。
同銀行は今後、株式やクレジットに連動する他の仕組み債もトークン化する計画であり、イーサリアムの活用が金融インフラとしてさらに進展する可能性がある。