企業のイーサリアム保有量、総供給の10%到達か|英SC予測

英スタンダードチャータード銀行は30日、上場企業による財務資産としてのイーサリアム保有が、総供給量の10%に達する可能性があるとの分析を明らかにした。
同行の報告によると、企業の暗号資産(仮想通貨)であるイーサリアムの財務保有高は、現在の総供給量の1%から急速に拡大する見込みだ。
イーサリアム ETH +2.72%は、月間で54.3%上昇し、約3806ドルと高値圏で推移している。
ETF規制を回避する新たな潮流
ETH購入を進める企業は、イーサリアムのステーキング機能やDeFiプロトコルを積極的に活用し、利回りを生成している。
この動きは、ステーキングが許可されていない米国のイーサリアムETFとは一線を画すものだ。
米国で規制されているイーサリアムETFはステーキング活動を禁じられているが、企業は規制の隙間を利用してイーサリアムをステーキングし、DeFiに参加している。
この規制の裁定取引が、企業によるETH保有を後押しする大きな要因となっている。
イーサリアムのステーキングは年率約3%の報酬を提供し、DeFi戦略と組み合わせることでさらに高い利回りが期待できる。
このため、静的な価値の保存手段と見なされることが多いビットコイン BTC +2.07%と比較して、イーサリアムは生産的な資産としての魅力が高まっている。
機関投資家の間でも、分散型アプリケーションでの実用性を背景に、ETHを戦略的な準備資産と見なす動きが広がっている。
市場力学を変える供給インパクト
企業のイーサリアム保有の動きは、すでに市場に影響を与え始めている。
2025年6月上旬以降、126万を超えるETHが企業によって取得されており、これは最近のイーサリアムETFへの流入額に匹敵する規模だ。
最大のETH財務保有企業であるBitMine社は、総供給量の5%にあたる約600万ETHの純取得を目指していると公表している。
スタンダードチャータード銀行は、もし企業の保有率が予測通り10%に達すれば、市場から大量のETHが吸収されることになると指摘する。
この供給量の減少は、市場の力学を大きく変え、価格形成モデルにも影響を及ぼす。
これらの企業は、ステーキングによる収入や高いレバレッジ能力を持つため、従来の金融商品とは異なる独自の資産クラスを形成しつつある。