SBI、チェーンリンクと提携発表|機関投資家の暗号資産普及へ

金融大手SBIグループは25日、ブロックチェーンのオラクルネットワークを主導するチェーンリンク(LINK)との戦略的提携を明かした。
日本およびアジア太平洋地域全体で、トークン化された現実世界資産(RWA)の採用を加速させることを目的としている。
SBIグループは2,000億ドル以上の資産を管理する日本の大手金融コングロマリットである。今回の提携は、SBIの深い金融専門知識と広範な機関投資家ネットワークを、チェーンリンクの相互運用性プロトコルや信頼性の高いオラクル基盤と結びつけるものだ。
初期段階では、チェーンリンクのクロスチェーン相互運用性プロトコル(CCIP)を資産のトークン化に導入する。特に不動産や国債に焦点を当てる計画だ。
SBIデジタルアセットホールディングスが最近実施した調査によると、金融機関の76%がトークン化資産への参加準備ができているものの、インフラの不備が障壁となっていることが明らかになっており、これが今回の提携の事業的根拠となっている。
この提携はSBIにとって、Circle社、Ripple Labs社、そしてStartale社に続く、最近発表された4件目の暗号資産(仮想通貨)関連の主要な協力関係となる。アジアのデジタル資産分野での優位性を確立するための包括的な戦略の一環とみられる。
機関投資家の需要が提携を後押し
この提携は、トークン化された証券に対する機関投資家の需要の高まりと、普及を妨げている現在のインフラのギャップに強く影響されている。
日本国内の規制動向も重要な役割を果たしており、この協力は国内でのデジタル資産採用を促進するために設計された税制改革や仮想通貨ETF計画と連携している。特に、米国で承認された事例を参考に、ビットコインETFの議論が国内でも活発化している。
SBIホールディングスの北尾吉孝会長は、コンプライアンスを遵守したクロスチェーン取引の重要性を強調した。特にステーブルコインの利用が、日本の金融システムで仮想通貨の採用を加速させる鍵であると述べている。
チェーンリンクの今後と市場への影響
今回の提携では、チェーンリンクの「SmartData」を導入し、トークン化されたファンドの純資産価値(NAV)データをオンチェーンで透明に公開する。これにより、ファンドマネージャーは流動性、透明性、および業務効率を向上させることが可能になる。
また、チェーンリンクのプルーフ・オブ・リザーブが統合され、ステーブルコインの準備金をリアルタイムで検証できるようになる。これは決済システムの透明性と信頼性を強化する上で重要だ。
SBIグループは、KrakenやRobinhoodなどのプラットフォームが確立したモデルに倣い、Startale社と共同でトークン化株式の取引プラットフォームも開発している。
市場アナリストは、今回の提携がチェーンリンク(LINK)の価格動向に大きな影響を与える可能性があると予測している。SBIの広大な金融エコシステム全体でのユースケース拡大と、機関投資家からの資金流入が期待されるためだ。
この取り組みは、トークン化された資産が既存の金融枠組み内で運用できるよう、コンプライアンス機構を組み込むことで、規制上の主要な懸念事項にも対応している。
今回の提携は、伝統的金融におけるブロックチェーン技術の主流化に向けた極めて重要な一歩であり、将来の機関投資家によるブロックチェーン統合の青写真となる可能性を秘めている。