ストラテジー社、ビットコイン戦略巡り集団訴訟｜評価損が発端

ストラテジー（旧マイクロストラテジー）は5月19日、ビットコイン（BTC）を軸とした経営戦略と巨額の評価損失を巡り、アメリカで投資家による集団訴訟に直面していることが明らかになった。

訴訟は5月16日に提起され、5月20日までに代表原告を募集するとしている。

巨額の評価損失と市場反応

ストラテジーは2020年からビットコインへの大型投資を進め、企業価値向上の中核戦略と位置付けてきた。2023年には社名を変更し、企業ブランドも刷新。

2025年1月からはアメリカの新たな会計基準「ASU 2023-08（公正価値評価）」を導入し、仮想通貨の保有分は時価評価で財務諸表に反映することとなった。

同社は4月7日、2025年第1四半期におけるビットコイン保有分の未実現損失がおよそ5,910億円（約40億7,000万ドル）に上ったと開示した。

新会計基準の影響で、仮想通貨価格の変動による損益がより明確に財務状況へ反映される形となり、これが発端となって株価は約9％下落した。

また、ビットコインの激しい値動きにより同社の企業価値や財務の健全性についても懸念が生じている。

5月19日には、仮想通貨市場でビットコインのロングポジション約126億円（8,700万ドル）相当が清算されるなど、業界全体にリスク回避の動きが広がった。

投資家の主張と課題

今回の訴訟では、ストラテジーの経営陣がビットコイン戦略の有効性や価格変動リスクについて、実際よりも収益性を強調し、リスク説明が不十分だったと指摘されている。

証券取引法違反の可能性を巡り、同社の情報開示の在り方や投資家保護が今後の焦点となる。

さらに、米格付け会社による信用格付けの引き下げやステーブルコインを含む仮想通貨市場の不安定性も、ストラテジー及び他の企業の仮想通貨活用をめぐる議論を活発化させている。

今後もビットコインの価格動向が企業経営や市場心理に大きな影響を及ぼす可能性が高い。