ケニア高等裁判所、ワールドコインに生体認証データ削除を命令

ケニア高等裁判所は5日、サム・アルトマン氏が率いるWorldのWorldcoin（ワールドコイン）プロジェクトに対し、同国民から収集した生体認証データの削除を命じた。

Worldcoinプロジェクトへの法的措置

ケニア高等裁判所は、Worldcoinプロジェクトが国民から収集した虹彩などの生体認証データについて、プライバシー権を侵害していると判断した。同裁判所は、Worldcoinに対し、取得したすべての生体認証データを削除するよう求めている。

Worldcoinは、グローバルなデジタルIDと暗号資産（仮想通貨）を組み合わせ、虹彩スキャンを通じて本人確認を行う仕組みを提供している。ケニアでは、多くの市民がこのプロジェクトに参加し、虹彩データを提供していた。

プライバシー権の侵害とその影響

今回の判決は、個人情報の保護とプライバシーの権利が、テクノロジー企業の事業展開において重要な課題であることを示している。裁判所は、Worldcoinが事前に十分な説明や同意を得ずにデータ収集を行ったことを問題視した。

ケニア政府は以前から、Worldcoinのデータ収集活動に対し規制の必要性を指摘していた。今回の判決によって、同国の市民の生体認証データが不適切に利用されるリスクが軽減されるとみられる。

国際的な生体認証データの取り扱いへの波及

Worldcoinのようなプロジェクトが各国で展開される中、生体認証データの管理やプライバシー保護は国際的な課題となっている。ケニア高等裁判所の決定は、他国でも同様の議論や規制強化のきっかけとなる可能性がある。

今後、仮想通貨投資分野における個人情報保護やデータ管理の在り方について、より厳格な基準が求められると予想される。企業や投資家は、法規制や社会的責任を十分に考慮しながら事業活動を進めていく必要がある。