ENS、独自レイヤー2開発中止|ETHヴィタリック創業者も支持

イーサリアム・ネーム・サービス(ENS)は6日、次世代プロトコル「ENSv2」をイーサリアム(ETH)のメインネットに独占的に展開すると明かした。
また、ENSのニック・ジョンソン共同創業者は、約2年間にわたり開発を進めてきた独自のレイヤー2ネットワーク「Namechain」の開発を中止する決定を明らかにした。
この戦略的な転換により、ENSv2は当初の計画とは異なり、イーサリアムのレイヤー1上に直接展開されることになる。
ジョンソン氏は、Namechainの開発中止がENSv2の展開そのものや機能ロードマップに影響を与えることはないと強調している。
ENSv2は、登録プロセスの簡素化や、あらゆるチェーンからのステーブルコインによるドメイン購入、所有者により大きな制御権を与える新しいレジストリ設計など、現行システムからの大幅な改良を含んでいる。
イーサリアムのスケーリングが決定打に
今回の決定に至った最大の要因は、イーサリアムのスケーリングが予想以上のペースで進展したことにある。
公式ブログによると、過去1年間でENSの登録にかかるガス代は99%削減されたという。これは2025年にイーサリアムのガスリミットが3000万から6000万に引き上げられたこととも重なり、レイヤー1での運用コスト効率が劇的に向上したことを意味する。
これまで独自のレイヤー2ソリューションを開発する主な理由はトランザクションコストの削減にあったが、レイヤー1自体のコストが大幅に下がったことで、その前提が崩れた形だ。
イーサリアムのヴィタリック・ブテリン共同創業者氏もこの決定を支持しており、「良い決断だ」と公言している。
同氏は、ENSの名前や記録はイーサリアムエコシステムにとって重要なオンチェーン状態であり、どこからでも容易にアクセスできるレイヤー1こそが理想的な場所だと述べている。
また、ブテリン氏はENSが一種の半金融的なアプリケーションとしての側面を持つことを指摘。
ENS名の取得や保持にはコストがかかり、それ自体が価値あるオブジェクトになり得るため、拡張されたスケーリングロードマップを持つイーサリアムレイヤー1が最適な展開先であるとの見解を示している。
ENSチームも、レイヤー1に留まることでイーサリアム自体の強力なインフラセキュリティを享受できる点をメリットとして挙げている。
既存ユーザーにも配慮
展開戦略の変更にもかかわらず、ENSv2で計画されていたすべての機能は維持される。
これには、将来的にあらゆるEVMチェーン上で「.eth」ドメイン名を登録できる機能や、ソラナ(SOL)やビットコイン(BTC)などの主要チェーンのアドレスサポートが含まれる。
特にビットコインとの相互運用性は、多くのユーザーから期待されている機能の一つだ。
また、ユーザーは名前解決の際に2つのチェーンではなく1つのチェーンのみを照会すれば済むため、解決速度が向上し、全体的なユーザー体験が改善される見込みだ。
既存のENSドメイン保有者にとっても、この変更による混乱は最小限に抑えられる。ENSv2への移行を選択しない場合でも、現在と同様にL1イーサリアム上で名前を使用し続けることが可能だ。
これにはDNS名や、「cb.id」や「uni.eth」といったCCIPリードを利用した名前も含まれる。
ENSチームは、ENS名のセキュリティと所有権の不変性が最優先事項であり続けることを確認している。
現在、ENSv2に関連するコントラクトやENSアプリ、ENSエクスプローラーはパブリックアルファ版として公開されている。
ENSのキャサリン・ウー最高執行責任者(COO)は、今回の調整はあくまで展開レイヤーの選択に関するものであり、ENSv2の機能やミッション、製品ロードマップには影響しないと説明している。
ENSは今後も、エコシステム内の可能な限り多くのチェーンをサポートするという広範な目標を追求していく方針だ。