イーサリアム、ノード負担激減へ|ブテリン氏が新設計発表

イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は18日、ノード運用のハードウェア負担を大幅に軽減する「部分的ステートレスノード」設計を提案した。
この新提案は、ブロックチェーン全体の状態(ステート)を各ノードが完全に保持する必要をなくし、ネットワークの分散化を促進する重要な一歩となる。
ノード運用の現状と分散化への課題
イーサリアムのフルノード運用には現在、高性能なハードウェアが不可欠で、このコスト面の障壁がネットワークの分散化を妨げている。
多くのユーザーはサードパーティサービスに依存せざるを得ず、プライバシーや検閲耐性といったブロックチェーンの基本理念が損なわれるリスクがある。
ブテリン氏の提案はこの課題に対応し、スマートフォンなど限られたリソースの端末でもノード運用を可能にする。
これはイーサリアムのビジョンである「誰もが参加可能な分散型ネットワーク」の実現に向けた具体的な一歩だ。
「ローカルファースト」アプローチの仕組み
部分的ステートレスノードの設計は「ローカルファースト」と呼ばれるアプローチを採用している。
これは図書館システムに例えられ、頻繁に使用するデータのみをローカルに保持し、残りは必要に応じて他のノードから取得するという仕組みだ。
このモデルでは、ユーザーはシンプルなオンチェーン設定を通じて、特定のスマートコントラクトやトークン、よく利用するアプリケーションのデータなど、保存するデータを選択できる。
マークル証明などの複雑な暗号ツリーを保存する必要もなく、生データのみで十分とされている。
実装と今後の展望
この提案はEIP-4444を基盤としており、ノード履歴の保存期間を36日間に制限し、古いデータはイレイジャー・コーディングを用いてネットワーク全体に分散させる計画と連携している。
部分的ステートレスアプローチの導入により、ノード運用の初期コストは大幅に削減される一方、外部からデータを取得する際の遅延という新たな課題も生じる。
しかし、この設計はより多くの一般参加者のノード運用を可能にし、ネットワーク全体の強靭性と暗号資産(仮想通貨)投資の分散化を促進すると期待されている。
まだ初期段階の提案ではあるが、イーサリアムの分散化ロードマップにおける次のフェーズを形作る重要な一歩となる可能性が高い。
技術の進化により、新しい仮想通貨エコシステム全体の発展にも寄与するとみられている。