コインベース、ステーブルコイン企業BVNK買収交渉で優位か

米経済誌fortuneによると、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースが10月9日、ステーブルコイン基盤提供のBVNKの買収に向け交渉を進めてると報じた。
20億ドル規模の大型買収か
Fortuneは、6人の匿名情報筋の話として、コインベースと決済大手Mastercardがロンドン拠点のBVNK買収に関する交渉を進めていると報じている。
売却価格は15億〜25億ドルの範囲で協議されており、現時点ではコインベース側が優勢とされている。
最終合意には至っておらず、交渉が決裂する可能性も残るものの、成立した場合は「ステーブルコイン領域で過去最大の買収案件」になる見込みだ。
これは、2024年に決済企業Stripeがステーブルコイン企業Bridgeを11億ドルで買収した事例を上回る規模となる。
BVNKは、法定通貨と連動するステーブルコインの発行インフラや、ブロックチェーン決済ソリューションの開発を専門とする。
コインベース、Mastercard、BVNKは報道に対してコメントを控えている。
新決済インフラを巡る競争激化
ステーブルコイン関連企業を巡る買収競争は、次世代決済ネットワークの覇権争いを反映している。
Fortune誌は、Mastercardの関心について、AmazonとWalmartが独自ステーブルコイン構想を発表した際、同社株価が下落したことが背景にあると分析。
一方、コインベースがBVNKを獲得した場合、自社のレイヤー2ブロックチェーン「Base」の普及加速にも寄与するとみられる。
ステーブルコインはかつて専門的な金融ツールとみなされていたが、現在では銀行、商社、小売企業まで関心を示す「主流資産」へと移行しつつある。
規制当局の監視が強まる中、インフラ企業を傘下に置くことはコンプライアンス面でも優位に働く可能性がある。
業界再編と今後の焦点
今回の買収は、暗号資産市場における「ステーブルコイン覇権争い」が企業買収レベルにまで拡大していることを示している。
もしMastercardが買収に成功すれば、同社にとってブロックチェーン決済への大きな転換点となる。
一方でコインベースが落札した場合、ステーブルコイン事業の収益比率が高まるとともに、既存のUSDC関連事業との相乗効果も期待される。
買収交渉は引き続き進行中であり、業界全体から高い注目を集めている。