サークル社、ハイパーリキッドにネイティブ版USDC導入

ステーブルコインUSDCの発行元であるサークル社は17日、世界最大の分散型デリバティブ取引プラットフォームであるハイパーリキッドに、ネイティブ版USDCを導入した。
また同社は、ハイパーリキッドのネットワークであるHyperEVM上で、ネイティブUSDCとクロスチェーン転送プロトコル(CCTP)V2を正式に開始する。
この統合により、利用者はArbitrumからのブリッジに頼ることなく、ハイパーリキッドのネットワーク上で直接入金や取引が可能となり、ユーザー体験が大幅に向上する。
HyperEVMは、ハイパーリキッドのレイヤー1ブロックチェーンに統合されたイーサリアム仮想マシンと位置付けられている。
サークル社のジェレミー・アライアCEOは、「この統合はCircleの技術とHyperliquidの活発なユーザー基盤を結びつけるものだ」と述べ、今回の提携が持つ戦略的な重要性を強調した。
エコシステムへの深い関与と戦略的背景
サークル社は、コミュニティで最も革新的なHIP-3およびHyperEVMの構築者と協力するための包括的なプログラムに取り組むことを約束しており、エコシステムへの長期的な関与を示している。
今後数週間で、オンチェーン金融業務に特化したプラットフォームHyperCore上で、Hyperliquid USDCの直接入金を可能にし、CCTPの相互運用性を強化する予定だ。
この戦略的提携は、ハイパーリキッドが独自のステーブルコインUSDHのリリースを計画している直前に行われた。
USDHはUSDCと直接競合することが予想され、協力と競争の両方の力学を生み出す可能性がある。
ハイパーリキッドは現在、サークル社のUSDC総供給量の約8%に相当する60億ドル近くのUSDCを保有している。
これらの預金は、サークル社やコインベースを含むパートナーに年間約2億5,000万ドルの利子収益をもたらしていると報告されている。
HYPEトークン高騰とサークルの狙い
サークル社による出資は、HYPEトークンの価値が1,500%という劇的な急騰を見せた後に行われた。これは、ハイパーリキッドエコシステムが秘める大きな成長可能性を示している。
今回の提携は、HyperEVMが独立したレイヤー1ネットワークであることを証明するものだ。サークル社の技術展開と資金出資は、プラットフォームの安定性と成長軌道に対する信頼の表れといえる。
サークル社は、さらにハイパーリキッドのバリデーターになる可能性を評価していることも明らかにした。
これが実現すれば、ネットワークのコンセンサス形成における同社の地位と影響力は大幅に強化されるだろう。バリデーターとなることは、一般的な暗号資産(仮想通貨)プロジェクトにおいて、ネットワークの安全性と分散化に貢献する重要な役割だ。
この動きは、インターネット上でドルのネットワークユーティリティを構築するというサークル社の広範な戦略の一環となる。
多様なブロックチェーンエコシステム全体でUSDCの存在感を拡大する狙いがある。
アライアCEOはSNSでの声明で、「我々はHYPEエコシステムに大々的に参入する。エコシステムの主要なプレイヤーであり貢献者となるつもりだ」と力強く宣言した。
今回の提携は、急成長する分散型デリバティブ市場で優位に立つプラットフォームへUSDCの採用を拡大する、Circleの戦略的アプローチを象徴している。
これは、分散型金融(DeFi)の領域におけるステーブルコインの重要性が一層増していることを示唆している。