バイビット、野村関連企業コマイヌと提携|機関サービスを統合

暗号資産(仮想通貨)取引所バイビットは3日、デジタル資産カストディアンのKomainu(コマイヌ)と戦略的パートナーシップを締結した。
この提携により、バイビットはコマイヌが提供する機関投資家向けの担保管理サービス「Komainu Connect」を自社プラットフォームへ統合する。
これにより、機関投資家は資産をコマイヌの安全な管理下に保持したまま、バイビット上で取引できるようになる。
この仕組みは、資産を取引所に直接預ける必要なく取引可能な環境を実現するもので、資産は規制に準拠した第三者カストディによりオンチェーンで厳格に分離管理される。
カウンターパーティリスクへの対応
バイビットとコマイヌとの提携は、機関投資家が最も懸念するカウンターパーティリスクへの直接的な解決策となる。
従来、仮想通貨取引を行うには資産を取引所のウォレットに移す必要があり、仮想通貨取引所の破綻やハッキングなどのリスクにさらされていた。資産保全が最優先となる機関投資家にとって、この構造は大きな課題だった。
今回採用されるカストディ・ファーストモデルでは、資産を外部の安全なカストディアンに保管したまま、バイビットのオーダーブックで取引できる。これにより、資産を取引所に預けずに24時間365日市場へアクセスすることが可能になる。
また、取引所外での自動照合によって管理されるため、事前に取引所へ資金を移す必要もなくなる。これは、機関投資家が抱えていた大きなボトルネックを解消する仕組みだ。
コマイヌのポール・フロスト・スミス共同CEOは、機関投資家が求めているのは高いセキュリティやコンプライアンスを犠牲にせず、市場機会を確実に捉える能力だと述べている。安全な投資環境が整えば、市場への信頼は一段と強まるだろう。
従来の保管ソリューションでは、セキュリティと取引効率のどちらを優先するかというトレードオフが避けられなかった。
今回の提携は、その課題を解消し、安全性と利便性を兼ね備えた新たな取引環境の実現を目指している。
信頼とコンプライアンスの強化
世界的にデジタル資産の保管に対する規制圧力が高まっていることから、法規制に準拠したカストディソリューションの重要性は一段と増している。
バイビットにとって今回の提携は、機関投資家向けサービスの信頼性を高める戦略的な一手となる。
バイビットのB2B部門責任者イー・ワン氏は、同社が最も重視しているのは顧客からの信頼であり、そのためのセキュリティ対策が今回のパートナーシップ構築の大きな理由だと説明する。
同氏は、この提携によって機関投資家に求められる信頼性やセキュリティ、拡張性の高いコンプライアンス準拠のカストディソリューションを提供できるようになると述べた。
これにより、リスク管理と規制遵守を重視する投資家ニーズに応えることが可能となる。
今回の統合は、取引所、レンディング業者、ブローカーをシームレスにつなぐ一方で、堅牢なセキュリティプロトコルを維持できる点でも意義が大きい。断片化しがちな機関投資家向けの仮想通貨インフラにおいて、重要な進展となるだろう。
コマイヌは、野村ホールディングス傘下のLaser DigitalやBlockstreamなどが支援する規制準拠のカストディアンであり、世界第2位の取引量を誇るバイビットとの提携は同社のネットワーク拡大に大きく寄与する。
セキュリティ強化による安心感は、バイビットの評判の向上にも寄与しそうだ。