ビットコイン長期保有者が70億ドル相当売却か、価格停滞の懸念

データ分析企業Glassnodeは25日、ビットコインの長期保有者が10月中旬以降、約62,000 BTCをウォレットから移動させたと報告した。
長期保有者の利益確定売りが市場を圧迫
Glassnodeのデータによると、10月中旬以降移動されたビットコイン(BTC)は、現在価格で約70億ドル(約1兆710億円)に相当する。
これは2025年下半期で初めて、市場の非流動的供給が大幅に減少したことを示す動きだ。
10月22日のレポートでは、7月以降、長期保有者が1日あたり22,000 BTCを超えるペースで保有資産を売却していると指摘されていた。
供給増は価格下落の直接要因となり、10月初旬の最高値約126,198ドル(約1,930万円)から、26日時点では約113,550ドル(約1,737万円)まで下落した。
クジラの買い増しと二極化する市場
この売却傾向の背景には、熟練投資家による継続的な利益確定圧力がある。一方で市場の新規資金流入は鈍化し、需給の不均衡が価格を押し下げている。
特に、約1万ドルから100万ドル相当のBTCを保有するウォレットでは、昨年11月以降の継続的な流出が観測されている。
しかし、クジラと呼ばれる大口保有者はこの局面で逆に資産を蓄積。
過去30日間でクジラのウォレットは保有量を増やしており、10月15日以降は売却の動きがほとんど見られない。
短期の買い勢力が減少し、下落局面での買い支えも不十分な状況が続く中、強い現物需要が戻るまでは価格が抑え込まれる可能性がある。
専門家が示す今後の見通しと市場の過渡期
テクニカル分析では、ビットコインは短期保有者のコストベースである113,100ドル(約1,730万円)を下回っており、需給の弱さが浮き彫りになっている。
Galaxy Digitalのマイク・ノボグラッツCEOは以下のように述べる。
「規制変更やFRBの方針転換がなければ、年末価格が25万ドルに達する可能性は低い」とし、12万~12万5,000ドルでの推移を予測している。
一方、過剰なレバレッジは一掃され、未決済建玉は約30%減少。連鎖清算のリスクは低下した。
Jan3のサムソン・マウCEOは「このボラティリティは信念の弱い保有者にとっては厳しい時期だ」と述べ、市場が過渡期にあることを強調した。
価格回復のカギは、現物需要の回復とボラティリティの安定にあるとみられる。