バイナンス、トランプ家関連ステーブルコインUSD1の採用拡大

暗号資産(仮想通貨)取引所大手のバイナンスは11日、トランプ家に関連するステーブルコインUSD1のサポート拡大を明かした。
バイナンスは、World Liberty Financial(WLFI)が発行するUSD1を、マルチアセットモードの証拠金資産として採用した。
新たな取引ペアとして、BNB/USD1、ETH/USD1、SOL/USD1などが導入された。
急速に成長するUSD1
USD1は、米ドルの価格を維持するように設計された完全担保型のステーブルコインだ。
イーサリアムやBNBチェーンなど複数のネットワークで展開されている。
発行や償還にかかる取引手数料が無料である点も特徴の一つだ。個人だけでなく、機関投資家の国境を越えた決済手段としても効率的な選択肢となる。
USD1の市場規模は急速に拡大している。2025年3月時点では350万ドルだった供給量が、同年後半には約30億ドルに達した。
マルチチェーン戦略と機関投資家の参入
USD1の急速な普及は、マルチチェーン戦略によるところが大きい。
イーサリアムでの展開に続き、BNBチェーンやソラナへと迅速に拡張された。
特にソラナネットワークでは、立ち上げから90日以内に20億ドル以上の流動性を獲得したと報告されている。
また、複数のDeFiエコシステムへの統合や機関投資家による採用も重要な役割を果たしている。大口のウォレットによる活発な取引活動が、市場拡大に大きく貢献した。
バイナンスがインフラの一部として、WLFI発行のUSD1を組み込んだことは、同通貨にとって大きな信頼の証となる。
今後の展望と市場への影響
金融アナリストは、現在の流動性インセンティブと機関投資家の採用が続けば、さらなる成長が見込めると予測する。2026年半ばには時価総額が50億ドルを超える可能性がある。
一方で、USD1はUSDCやPayPalのPYUSDといった既存の強力な競合との競争に直面している。
また、一部の大口ウォレットに保有が集中している点も懸念材料だ。
トランプ家との政治的なつながりは、特定のユーザー層にとって魅力となる一方、リスク要因でもある。
2025年から2026年の米選挙サイクルにおいて、政治的な監視対象となる可能性も否定できない。
今回のバイナンスによる統合は、USD1が小規模な発行体から主要なプレーヤーへと進化する重要な節目だ。