バイナンス、規制圧力緩和へ米司法省と協議開始|BNB20%急騰

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは17日、米司法省(DOJ)との和解合意に関する協議を開始した。
総額43億ドルの合意で課された3年間のコンプライアンス監視義務を、予定より早期に終了させることを目指している。
今回の協議がまとまれば、同社に対する規制圧力が緩和される可能性がある。
和解後のコンプライアンス強化が背景か
2023年11月、バイナンスはマネーロンダリング対策(AML)規制や制裁法違反の疑いで調査を受け、米司法省(DOJ)との歴史的な和解に至った。
この合意により、同社は3年間にわたり独立したコンプライアンス監視人を受け入れる義務を負うことになった。公式記録では、バイナンスが効果的なAMLプログラムの維持を怠り、国際緊急経済権限法に違反したことを認めている。
和解の一環として、前CEOのチャンポン・ジャオ氏は銀行秘密法違反を認め、4カ月の禁固刑を受けた。
専門家によれば、今回の交渉はDOJが監視メカニズムに対する姿勢を変化させたことが背景にある。外部監視人ではなく、内部のコンプライアンス体制を評価する傾向が強まりつつあるという。
バイナンスは和解後、規制遵守の徹底を示すために約60人のコンプライアンス違反の従業員を解雇し、高度なブロックチェーン追跡ツールを導入。さらに3000万ドル以上の不正資金を回収している。
市場の好感と今後の展望
今回の報道を受け、市場は好意的に反応し、バイナンスコイン(BNB)は約20%急騰した。これは仮想通貨投資家のリスク認識が改善した結果とみられる。
EUのMiCA規制やアラブ首長国連邦の仮想資産規制フレームワークも、組織の成熟度に応じた柔軟な対応を重視しており、今回の交渉は金融市場での地位強化の動きと軌を一にしている。
さらにバイナンスは、ドナルド・トランプ大統領が支援するWorld Liberty Financialと提携し、新たなステーブルコインの開発に着手した。また、サイバー攻撃に対してもユーザーデータや資産への影響はなかったと発表している。
こうした一連の動きは、急成長する仮想通貨分野においてコンプライアンス成熟度の新たな基準を示す可能性があり、将来的に他のデジタル資産企業の評価にも影響を及ぼすことが予想される。