バイナンスUS復活|2025年初頭に米ドル再開

暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンスUSは18日、2025年初頭に米ドルによるサービスを再開する計画を明らかにした。
米ドルサービスの復活と規制への対応
バイナンスUSのノーマン・リード暫定CEOは声明の中で、法定通貨サービスの復旧がユーザーから最も要望の多い機能であると述べた。
具体的な開始日については明言を避けたものの、再開は時間の問題であると強調している。
同取引所は2023年7月以降、SECによる厳しい監視を受け、銀行アクセスが制限されたことから仮想通貨のみを取り扱うプラットフォームとして運営してきた。
SECは同年6月、証券法違反の疑いで同社を提訴している。
リード氏は、過去17カ月にわたり規制遵守の基準を満たすための取り組みを続けてきたと説明した。
同社はSECによる広範な証言聴取や文書提出の要求に対応し、存続をかけた厳しい局面を乗り越えてきたという。
創業者の影響力縮小と経営再建
バイナンスUSが米国市場での事業拡大を目指す上で、創業者チャンポン・ジャオ(CZ)氏が支配株主である点は、長らく規制上の課題とされてきた。
規制当局は同氏による影響力を問題視しており、これが複数州でのライセンス取得を妨げている。
このため、同社経営陣はCZ氏の持ち株比率を引き下げるための資本増強策を検討している。
これは、ガバナンス体制を強化し、米国市場への再参入を円滑に進めるための戦略的な動きとみられる。
背景には、10月にドナルド・トランプ大統領がCZ氏に恩赦を与えたとの報道もある。
これを受け、バイナンスは米国市場での事業展開を再評価し始めた可能性がある。
一方で、バイナンスのグローバルCEOであるリチャード・テン氏は慎重な姿勢を維持している。
同氏は、米国市場への本格的な再参入については時期尚早であり、現在は世界規模での事業拡大と機関投資家の誘致に注力していると述べた。
競争激化の中での信頼回復と成長戦略
バイナンスUSが制限付きの運営を余儀なくされていた間、米国の取引所市場では競争が激化した。
コインベースなどの競合は、完全に規制された取引環境を求める機関投資家の受け皿となり、市場シェアを拡大している。
また、一般ユーザーの間でも、仮想通貨取引所選びにおいて、規制遵守やセキュリティを重視する傾向が強まっている。
リード氏は、バイナンスUSが困難な時期を経て、より強靭な組織へと進化したと主張する。
同社は今後、米ドルサービスの再開に加え、カストディサービスやウォレットソリューションの拡充など、多角的な成長戦略を推進する方針だ。
同社は改善されたコンプライアンス体制を前面に打ち出し、米国ユーザーからの信頼回復を目指している。
市場ではビットコイン(BTC)をはじめとする主要銘柄への関心が高まっており、バイナンスUSの動向が注目されている。