JPモルガンが指摘、機関投資家のDeFi利用が低迷|課題を分析

JPモルガンのアナリストチームは7日、分散型金融(DeFi)や資産のトークン化に対する機関投資家の関心が、インフラの成長にもかかわらず限定的であるとの分析を明らかにした。
報告書は、規制の不透明性や法務リスク、そして明確な需要の欠如が、伝統的な投資家をDeFi市場から遠ざけている主な要因であると指摘している。
進まぬDeFiとトークン化の普及
JPモルガンのレポートによると、機関投資家によるDeFiと資産トークン化への参入は依然として低い水準にある。基盤となる技術やインフラは進化しているものの、機関投資家の本格的な参加には至っていない。
DeFi市場の総ロック額(TVL)は、2021年のピークや2022年の仮想通貨市場暴落以前の水準を下回ったままだ。個人投資家の参入や技術革新は続いているが、市場全体としての回復は遅れているのが現状である。
一方で、トークン化された資産は総額250億ドル(約3.6兆円)、債券は80億ドル(約1.17兆円)に達している。
しかし、その利用はごく一部の実験的な試みに限定されており、機関投資家による広範な採用には繋がっていない。価格の安定を目的とするステーブルコインの分野では技術的な進展が見られるものの、全体的な普及には至っていない。
規制と構造的な課題が障壁に
機関投資家がDeFiへの参入をためらう最大の要因は、規制と法的な課題だ。各国の規制が統一されておらず、ブロックチェーン上の資産分類に関する法的な問題も未解決のままである。
さらに、スマートコントラクトの脆弱性や、分散型プラットフォームの運用リスクも大きな懸念材料となっている。本人確認(KYC)機能を備えたコンプライアンスツールの開発は進んでいるものの、機関投資家の信頼を得るには至っていない。
その結果、機関投資家はDeFiプロトコルよりも、規制の枠組みが明確なビットコインや、既存の金融技術ソリューションを優先する傾向にある。
伝統的な金融機関は、ブロックチェーンに代わるオフチェーンの代替手段で効率化を進めており、現時点ではDeFiの必要性を感じていない。