ブロックストリーム、BTC向け最新スマコン言語「Simplicity」始動

ビットコイン(BTC)のインフラ開発を手がけるブロックストリームは7月31日、独自のサイドチェーンLiquid Network上で、新たなスマートコントラクト言語Simplicityをリリースした。
この導入により、ビットコイン(BTC)上でより高度でセキュアなプログラムの実行が可能となる。
Simplicityは、セキュリティと監査のしやすさを重視して設計されたスマートコントラクト言語だ。これにより、機関投資家向けの本格的なアプリケーション開発が現実味を帯びてきた。
In 2017, Blockstream set out to develop a smart contract language that outperforms Bitcoin Script and EVM, offering more expressiveness with stronger safety assurances. Eight years later, we believe we've done it.
— Blockstream (@Blockstream) July 31, 2025
Introducing Simplicity. 🧵https://t.co/5vbjei0MEL pic.twitter.com/nN89IxhMpb
ビットコインの限界を克服するSimplicity
Simplicityは、数学的な正しさを保証する形式的検証を取り入れている。
形式的検証用ツールCoqを用いて仕様が記述され、展開前にプログラムの正確性を確認できる。これにより、従来のビットコインスクリプトが抱えていた複雑なロジックの実装における制約を克服する。
また、この言語はチューリング不完全性を採用している。意図的に計算能力を制限することで、プログラムの動作を事前に分析し、実行時の予期せぬ問題や無限ループといったリスクを根本から排除する設計だ。
これは、セキュリティを重視するビットコインの思想と一致する。
今回の有効化は、Liquid Networkの機能管理者が1万80ブロックにわたって支持を表明することで合意形成に至った。
Liquidはビットコインのレイヤー2ソリューションとして機能しており、本体のネットワークに影響を与えることなく、先進的な技術をテスト・導入する場として重要な役割を果たしている。
機関投資家需要とセキュリティ重視の設計
Simplicityの開発は、ブロックストロームのエンジニアであるラッセル・オコナー博士が2012年に構想したことに始まる。長年の研究とテストを経て、今回のメインネット展開が実現した。
その背景には、金融機関などからの、規制に準拠し監査可能なスマートコントラクトへの需要の高まりがある。
イーサリアム(ETH)などのプラットフォームで採用されるチューリング完全な言語は、柔軟性が高い一方で、脆弱性を突いた不正利用のリスクも指摘されてきた。
Simplicityは、意図的に機能を絞り、予測可能性と安全性を高めることで、これらとは異なるアプローチを取る。この設計思想は、特にセキュリティを最重要視する機関投資家にとって魅力的だ。
SimplicityがLiquid Networkに導入されたことで、今後は信頼性の高い資産スワップや、プライバシーを重視した分散型アプリケーションの開発が加速すると期待される。
ビットコインの基本的な金融政策を維持しつつ、そのエコシステムを大きく発展させ、ビットコイン上でのDeFiサービスの構築を促進する可能性が期待される。