Visa、ステーブルコイン導入支援を開始|銀行や企業向け

決済大手Visaは15日、銀行や企業向けにステーブルコインの導入を支援する新たなアドバイザリー業務を開始した。
この新サービスは、同社のコンサルティング部門であるVisa Consulting and Analyticsを通じて提供される。
銀行やフィンテック企業、一般事業会社に対し、ステーブルコインに関する戦略策定から実装までを包括的に支援する狙いだ。
包括的な戦略支援と市場の需要
Visaにおけるステーブルコイン関連の決済額は、11月末時点で年率35億ドルのペースにまで加速しているという。
発表によると、ステーブルコインの市場規模はすでに2500億ドルを突破している。
同社は現在、40カ国以上で130を超えるステーブルコイン関連のカード発行プログラムを展開している。
今回の取り組みは、こうした実績を基に企業の市場参入を後押しするものとなる。
アドバイザリー業務では、ステーブルコインに関する教育や市場トレンドの分析提供の他、戦略立案、市場参入計画、技術統合支援などのサービスを展開する。
金融業界では、国境を越えた送金や企業間決済において、ステーブルコインの活用が急速に注目されている。
従来の送金インフラと比べ、コスト削減や処理速度の向上が期待できるためだ。
Visaのカール・ラットスタインコンサルティング責任者は、今日のデジタル環境においては包括的な戦略を持つことが不可欠だと指摘する。
企業ごとに最適な導入形態が異なるため、個別ニーズに応じた助言を行う方針だ。
インフラ整備と今後の展望
Visaは助言業務にとどまらず、決済インフラの整備も同時に進めている。
特定条件を満たした企業が、ステーブルコインを用いてクロスボーダー決済資金を事前に確保できる仕組みなどを試験的に導入した。
現在、多くのステーブルコインはイーサリアム(ETH)やソラナといったブロックチェーン上で発行されている。
初期顧客には、パスワードやヴァイスター信用組合などの金融機関が含まれる。
これらの組織は、Visaの専門知識を活用し、新たな金融ソリューションの検討を進めている。
また、社内教育機関であるVisa Universityでは、ステーブルコインに特化した新コースも開設された。
Visaはインフラ提供と戦略的助言の両面から、デジタル通貨の普及を支える構えだ。
こうした動きは、仮想通貨市場全体が成熟段階へ移行しつつあることを示す象徴的な事例といえるだろう。