トランプ氏、闇市場シルクロード創設者の釈放を約束

元米大統領のドナルド・トランプ氏は1日、収監12年目を迎えたシルクロード創設者ロス・ウルブリヒト氏への支持を再び表明した。
この発言は、暗号資産(仮想通貨)と違法行為の境界線に関する議論を再燃させている。
シルクロード事件とは
シルクロードは、2011年にウルブリヒト氏が立ち上げたダークウェブ上のマーケットプレイスだ。このサイトでは、ユーザーが匿名で違法薬物やその他の違法商品を売買できた。
取引にはビットコイン(BTC)が使用され、Tor(The Onion Router)ネットワークを利用した高度な匿名性が特徴だった。
ウルブリヒト氏は「ドレッド・パイレーツ・ロバーツ」という偽名を使用し、シルクロードを運営。2011年から2013年の間に約2億ドル(約300億円)相当の違法取引が行われたと推定されている。
12年目の収監生活へ
2013年10月1日、ウルブリヒト氏はサンフランシスコの公共図書館でFBIに逮捕された。逮捕の決め手となったのは、自身のGmailアドレスを公開するなど、オンライン上に残した痕跡だった。
2015年2月、ウルブリヒト氏はシルクロードの運営に関連する7つの罪で有罪判決を受けた。同年5月29日には、仮釈放の可能性のない終身刑2回+40年という厳しい刑が言い渡された。
判決では、シルクロードを通じて得た利益や、少なくとも6人の過剰摂取死に寄与したとされる事実が考慮された。
トランプ氏、ウルブリヒト氏の「救済」を誓約
ウルブリヒト氏は今年3月に40歳を迎え、外部とのコミュニケーションに使用しているXアカウントで家族を通じて次のように投稿した。「今日から12年目の収監生活が始まります。時間を最大限に活用し、賢明に使う計画です」

この投稿のスクリーンショットを共有したトランプ氏は、自身のSNSプラットフォーム「Truth Social」で「私はロス・ウルブリヒトを救う!」と宣言した。
トランプ氏、当選初日の減刑を約束
トランプ氏がウルブリヒト氏への支持を表明したのは今回が初めてではない。今年初め、リバタリアン全国大会で、トランプ氏は当選した場合、初日にウルブリヒト氏の刑を減刑すると約束している。
この約束に対し、ウルブリヒト氏はXで感謝の意を表明。「11年間の収監生活を経て、今の気持ちを言葉で表すのは難しいです。皆さんの揺るぎない支援のおかげで、新たな始まりのチャンスがあるかもしれません」と述べた。
Last night, Donald Trump pledged to commute my sentence on day 1, if reelected. Thank you. Thank you. Thank you.
After 11 years in prison, it is hard to express how I feel at this moment. It is thanks to your undying support that I may get a second chance.
— Ross Ulbricht (@RealRossU) May 26, 2024
不均衡な量刑に疑問の声:支持者たちの主張
多くの人々は、ウルブリヒト氏の量刑が罪状に比べて不均衡であり、恩赦に値すると考えている。特に、ウルブリヒト氏が初犯であったことから、その刑罰が不当であるという主張もある。
億万長者のベンチャーキャピタリスト、ティム・ドレイパー氏も長年にわたりウルブリヒト氏の釈放を訴えてきた人物の一人だ。ウルブリヒト氏の母親や支持者たちも、彼の釈放を求める運動を続けている。
来たる大統領選挙を前に仮想通貨に対する立場を一転させたトランプ氏は、ウルブリヒト氏とその支持者たちにとって希望の光となっている。
次期大統領選挙の行方と共に、ウルブリヒト氏の今後や、仮想通貨を利用した犯罪に対する法的対応にも注目が集まりそうだ。