SBI、チェーンリンクと提携|CCIPで資産トークン化を推進

日本の金融大手SBIグループのデジタル資産部門であるSBIデジタルマーケッツ(SBIDM)は6日、チェーンリンク・ラボとの戦略的提携を強化した。
この提携は、ブロックチェーン間の相互運用性を実現する「クロスチェーン相互運用性プロトコル」を導入するもの。
トークン化された現実資産をパブリックおよびプライベートチェーン間で安全に移転できるようにする。
SBIグループは総額12兆1000億円超の資産を運用しており、SBIDMはチェーンリンクをデジタル資産プラットフォームの独占的インフラとして採用する。
CCIPでプライベート取引にも対応
今回の統合には、第三者から取引内容を秘匿する「プライベートトランザクション」技術も含まれる。
チェーンリンクの公式発表によれば、金額や相手方などの情報を外部から閲覧できない形で処理できるという。
これにより、機関投資家が求める機密性とコンプライアンス水準に対応しつつ、オンチェーンで資産を管理できる環境を構築する狙いがある。
制度的採用を加速するパートナーシップ
SBIDMは今回の提携により、単なるトークン発行基盤から、総合的なデジタル資産エコシステムへの進化を目指す。
両社は既に、シンガポール金融管理局の実証プロジェクト「プロジェクト・ガーディアン」で協業している。
UBSアセット・マネジメントとともに、ブロックチェーンによるファンド管理プロセスの自動化を実証している。
また、SBIDMは複数法域に対応したコンプライアンス管理を強化するため、チェーンリンクの自動コンプライアンスエンジンの導入評価も進めている。
チェーンリンク(LINK)はすでにSWIFTやマスターカードとも提携しており、機関投資家からの採用が広がっている。
アジア太平洋市場での影響と今後の展望
この提携により、アジア太平洋地域におけるデジタル資産市場で、チェーンリンクの存在感がさらに高まる見通しだ。
SBIDMは今後、トークン化資産、クロスチェーン決済、ステーブルコイン検証など、複数領域での活用を進める。
市場アナリストの一部は、こうした制度的評価がLINK価格の下支え要因となっていると指摘する。
取引所保有量は数年来の低水準となっており、流通供給の減少が価格に影響を与える可能性がある。
今回の協力は、伝統金融と分散型金融(DeFi)を接続する流れを後押しするものとして位置づけられる。
グローバル市場におけるオンチェーン金融インフラ整備の加速が期待される。