FTX創業者、禁錮25年の判決で控訴|不公正な裁判と弁護側

FTXの共同創業者であるサム・バンクマン=フリード氏は5日、2022年の同社破綻を巡る詐欺罪での禁錮25年の判決を不服として控訴した。
ニューヨーク・マンハッタンの連邦控訴裁判所で審理が行われた。
フリード氏は2023年、顧客と投資家から数十億ドルをだまし取ったとして有罪判決を受けた。
FTXはかつて世界第2位の暗号資産(仮想通貨)取引所であったが、2022年11月に流動性危機に陥り経営破綻した。
弁護側の主張、不公正な裁判
控訴審で、バンクマン=フリード氏のアレクサンドラ・シャピロ弁護人は「陪審員は物語の片側しか聞かされなかったため、裁判は根本的に不公正だった」と述べた。
シャピロ氏は、ルイス・カプラン判事が弁護側の証拠提出を不当に制限したと指摘した。
特に、FTXの支払い能力や、事件の中心となった企業構造の構築に弁護士が関与していた証拠の提出が認められなかった点を問題視した。
これらの証拠は、バンクマン=フリード氏が誠実に事業判断を行っていたことを示すものだと弁護側は述べている。
また、裁判前のプレビュー審理についても異議を唱えた。
シャピロ氏はこの審理を前例のないものだとし、検察側がバンクマン=フリード氏の証言を事前に把握し、反対尋問の練習をする機会を与えたと批判した。
裁判所の懐疑的な見方と検察の反論
しかし、控訴裁判所の判事らは弁護側の主張に懐疑的な姿勢を見せた。
バリントン・D・パーカー判事は、裁判記録を検討した結果、有罪判決を裏付ける極めて実質的な証拠が見つかったと述べた。
パーカー判事は、弁護側が弁護士の助言に基づく抗弁を放棄したことを指摘している。
パーカー氏は、どこかに弁護士がいた、という漠然とした主張に過ぎないと反論した。
検察側を代表するネイサン・レーン連邦検事補は、裁判で提示された仮想通貨詐欺の証拠は圧倒的だったと主張している。
レーン氏は「被害者の最終的な資金回収の可能性は、詐欺の弁護にはならない」と述べた。
検察は、顧客が引き出しを保証されていた仮想通貨にアクセスできなくなった2022年の危機に焦点を当てている。
弁護側は、投資家が注目するAI仮想通貨とは直接関係ないものの、AI企業Anthropicへの5億ドルの出資などが正当な事業判断だったと主張したが、判決は後日下される予定だ。