パキスタン、トランプ氏関連WLFIのステーブルコインUSD1導入

パキスタンの仮想資産規制当局(PVARA)は14日、World Liberty Financialの関連会社とステーブルコインの導入に向けた覚書を締結したと明かした。
ステーブルコインUSD1統合へ
PVARAは、SC Financial Technologiesとの間で、デジタル金融の革新を探るための合意に至ったと明らかにした。同社は、トランプ米大統領の家族が主要な暗号資産ビジネスとして展開するWorld Liberty Financialの関連会社だ。
今回の合意により、同社のステーブルコインUSD1をパキスタンの規制されたデジタル決済システムに統合する可能性が検討される。
関係者によると、SC Financial Technologiesはパキスタン中央銀行と協力し、既存のインフラと並行してUSD1を運用できる枠組みの構築を目指すという。
World Liberty Financialは2024年9月に立ち上げられたプラットフォームであり、SC Financial Technologiesと共にUSD1ブランドを所有している。
USD1の時価総額は、執筆時点で約5400億8000万円となっている。
今回の提携が実現すれば、国家レベルでの大規模なステーブルコイン活用の先駆けとなる可能性がある。
送金市場の効率化とデジタル化の推進
パキスタンがこの提携を進める背景には、現金への依存度を下げ、国境を越えた決済システムを強化したいという狙いがある。
特に、年間約5兆7240億円に上る海外からの送金は、同国にとって重要な外貨獲得源となっている。効率的なデジタル決済手段の導入は、経済にとって大きなメリットとなる可能性がある。
PVARAの声明によると、パキスタン国内には推定4000万人の仮想通貨ユーザーが存在するという。
年間の取引高は最大で約47兆7000億円に達すると見られており、デジタル資産への関心は非常に高い。
政府はこうした市場の活況を背景に、規制された環境での導入を模索している。
パキスタン中央銀行総裁は2025年7月、デジタル通貨の試験運用に向けた準備と、仮想資産を規制するための法整備を進めていることを示唆していた。
今回の提携は、こうした国家的なデジタル化戦略の一環として位置づけられる。既存の金融システムと新しい技術の融合が期待されている。
米国との関係強化と今後の展望
今回の動きは、パキスタンと米国の外交関係が改善に向かっている時期と重なる。
トランプ政権下で導入された連邦規則は、ステーブルコインの普及に有利な環境を作り出しているとされる。
こうした政治的な背景も、今回の提携を後押しした要因の一つと考えられている。
World Liberty Financialは以前からパキスタン市場に関心を示しており、2025年4月にもブロックチェーン導入促進に向けた意向表明書に署名していた。
また、アブダビの投資会社MGXが同社のステーブルコインを利用してバイナンスの株式を購入した事例もあり、国際的な展開を進めている。
パキスタンのムハンマド・アウラングゼーブ財務相は、信頼できる世界的プレーヤーとの関与を通じてイノベーションを取り入れる姿勢を強調した。
ただし、あくまで規制と国益に沿った形での導入を目指すとしており、慎重な姿勢も崩していない。技術革新と金融安定性のバランスが鍵となる。
発表に合わせて、World Liberty Financialのザック・ウィトコフ共同創設者がイスラマバードを訪問し、関係者と協議を行った。