MetaMask、複数チェーン対応の新アカウント機能を導入

仮想通貨ウォレットのMetaMaskは28日、単一アカウントで複数のブロックチェーン資産を管理できる新機能「マルチチェーンアカウント」を導入した。
このアップデートにより、利用者は一つの統合されたアカウントを通じて、複数のネットワーク上の資産を管理できるようになる。
従来MetaMaskはイーサリアム専用ウォレットとして機能していたが、今回の構造改革で大きな転換点を迎えた。
同社の公式発表によると、新機能は「一つのアカウントでEVMおよび非EVMネットワークのトークン取引や資産管理」を可能にする。
これまで別々に管理されていたEVMチェーンと非EVMチェーンのアドレスを一元化する仕組みだ。
新機能「マルチチェーンアカウント」の仕組み
今回のアップデートは、MetaMask Mobile版7.57およびExtension版13.5で展開される。
既存のEVMアドレスとソラナ(SOL)アドレスが作成順に基づいて自動ペアリングされ、マルチチェーンアカウントが形成される。
公式では全EVMアカウントは名前とアドレスを維持し、各EVMアドレスは対応するソラナアドレスと共にマルチチェーンアカウントにグループ化されると説明。
ソラナアカウントの数が多い場合、対応するEVMアドレスが自動生成される。
技術面では、単一のリカバリーフレーズから複数のアカウントを安全に管理するため、BIP-44派生パスが利用されている。
異なるネットワークタイプ間でも一貫したアドレス生成が維持される設計だ。
初期対応はEVMとソラナだが、今後はビットコイン(BTC)、トロン、Monadへの拡張も決定している。
マルチチェーン化の背景と今後の展望
MetaMaskによると、今回のアップデートは「複数のウォレットやリカバリーフレーズを管理する煩雑さを解消する」ことが狙いだ。
利用者はネットワーク切り替えやウォレット管理の負担が軽減され、マルチチェーン間での活動がよりシームレスになる。
暗号資産業界がマルチチェーン化する中、この機能は相互運用性向上の流れに沿うものだ。
ハードウェアウォレットは現時点ではEVMのみの対応だが、ソラナ統合が今後のアップデートで予定されている。
Web3ゲートウェイへの進化
MetaMaskは新機能のリリースと同時に、資産の読み込み速度が30倍に向上したと発表。
これにより、単なるイーサリアムウォレットを超え、より包括的なWeb3ゲートウェイとしての進化が加速する。
マルチチェーンアカウント機能の導入は、ウォレット業界全体の標準化とユーザーエクスペリエンス改善に大きな影響を与える可能性がある。