コインベースと米銀が連携、USDC活用した決済実証を開始

米暗号資産(仮想通貨)取引所大手コインベースのブライアン・アームストロングCEOは3日、同社と米国の主要銀行によるパイロットプログラムが始動していることを明らかにした。
各銀行は、ステーブルコインや資産管理、取引サービスの導入に向けて動いているという。
この発言は、ニューヨークで開催されたイベント「DealBook Summit」の壇上で語られたものだ。
大手銀行がステーブルコイン活用へ
提携先には、シティグループ、PNC銀行、JPモルガン・チェースなどが含まれている。特にシティグループは、機関投資家向けの決済機能開発に注力している。
この取り組みでは、米ドルと連動するステーブルコインUSDCの活用が計画されている。
従来の国際送金システムSWIFTが数日を要するのに対し、ブロックチェーン技術を用いることで数秒以内の決済完了を目指す。
アームストロング氏は、最良の銀行はこの機会を積極的に活用しており、新技術への適応に消極的な銀行は今後の金融競争で取り残されるとの見解を示した。
PNC銀行との連携では、顧客が同行のプラットフォームを通じて仮想通貨を売買できる仕組みが構築されている。
銀行の信頼性とコンプライアンス体制に、コインベースの技術力を融合させる狙いがある。
資産トークン化と市場の拡大
イベントでは、ブラックロックのラリー・フィンクCEOとの対談も行われた。
両氏は、デジタルウォレット内の資産規模が約4兆1000億ドルに達していることに言及した。
フィンク氏は、ブロックチェーン技術を活用した資産のトークン化が金融インフラを大きく効率化し、流動性の向上にもつながると強調した。
特にイーサリアム(ETH)などのプラットフォームが、この分野で重要な役割を果たす可能性があるとした。
かつて仮想通貨に懐疑的だった金融機関も、現在は実用的な決済手段としてステーブルコインに注目している。
この動きは、デジタル資産が主流の金融システムに統合されつつあることを示している。