コインベース、人気ポッドキャスト復活へ|NFTを38億円で購入

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは20日、人気ポッドキャスト番組「UpOnlyTV」のNFTを2,500万ドル(約38億円)で購入した。同時に、番組が復活することを明らかにした。
「UpOnlyTV」は、Cobie氏とLedgerStatus氏が共同ホストを務めるポッドキャストで、2021年の強気相場で一躍人気となった。
イーサリアム(ETH)のヴィタリック・ブテリン共同創設者やFTXのサム・バンクマン=フリード創業者など、業界の著名人を招いた率直なトークで注目を集めた。
しかし、FTX破綻後の市場低迷を受け、2022年12月に放送を停止していた。
NFTが切り開く新たなコンテンツモデル
コインベースのブライアン・アームストロングCEOはXへの投稿で「噂は本当だ、我々がNFTを購入した。『UpOnlyTV』が帰ってくる」と述べ、取引を認めた。
アーカム・インテリジェンスによるオンチェーンデータでは、Coinbaseから著名トレーダーCobie氏のウォレットへ正確に2,500万USDCが送金されている。
これは、NFT史上最大級の取引の一つとされている。
今回の取引は単なる高額なNFT購入にとどまらない。
Cobie氏は2024年5月、自身が作成したNFTをバーンすることで番組再開のトリガーになると示唆していた。
このNFTは過去にOpenSeaで4.7ETH(約281万円)の入札があったのみで、今回の2,500万ドルという購入額は市場評価を大幅に上回っている。
背景には、NFTを活用したコンテンツ収益モデルを模索するCoinbaseの戦略がある。
NFTのスマートコントラクトには、制作時に購入者を完全に無視できる権利といったユニークな条項が組み込まれている。
NFTが単なる所有権を超え、契約的な役割を持つことを示した。
Coinbaseはスポンサーシップ権利や制作上のクリエイティブコントロールを保有せず、ホスト側の編集上の独立性を保証。
ブロックチェーン技術を活用して番組復活を起動させる、新しい形のコンテンツモデルを提示した。
市場への影響と今後の展望
この発表を受け、市場は即座に反応。
Coinbaseのレイヤー2ネットワークBase上で発行されたミームコインのUPONLYは7,900%急騰後に調整。
同じくBase上のCOBIEは5,800%上昇し、ソラナ基盤のUPONLYトークンも250%以上値上がりした。
Cobie氏は「『UpOnly』が終わって3年。番組開始時は20代だったが、今は白髪だ。番組名を『Unc Only』に変えて、2,500万ドルは美容整形に使う」とXで冗談を交えコメント。Coinbaseも「さあ、ライブの時間だ、Unc」と応じた。
市場アナリストは、「この取引が他のクリエイターにも波及し、編集権を維持しながら収益を得る新たなブロックチェーンベースの制作モデルを生み出す可能性がある」と指摘している。
一方で、2021年の強気相場時代の熱狂を再現することの難しさも指摘されている。
Cobie氏自身も当時のような著名ゲストの確保が容易ではないと認めている。今後の展開が注目される。