野村・大和と3メガ銀、ステーブルコインで証券決済へ

野村ホールディングス(HD)と大和証券グループ本社、国内3メガバンクは10日、法定通貨に連動するステーブルコインを使って株式や債券などを購入できる仕組みを構築すると発表した。
証券決済のデジタル化を推進
この取り組みは証券をデジタル化し、ブロックチェーン技術を用いた決済システムを導入するものだ。
対象となる資産には、株式や債券、投資信託に加え、短期国債などで運用されるMMF(マネー・マーケット・ファンド)が含まれる。
このコンソーシアムは数年以内の実用化を目指しており、金融庁への届出を経て、2026年2月からブロックチェーン上での証券決済に関する実証実験を開始する予定だ。
これに先立ち、3メガバンクは2025年11月に実証実験用のステーブルコインを共同開発すると発表していた。
今回の連携は、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」の支援対象案件として採択されている。既存の金融インフラを刷新し、より効率的で迅速な決済手段を提供することが期待されている。
海外の動向と日本の競争力
今回の動きの背景には、ブロックチェーン金融の分野で先行する米国などの国際的な潮流に遅れを取らないという日本の狙いがある。米国では2025年12月、JPモルガンがイーサリアム上でトークン化されたMMF「MONY」の提供を開始した。
また、米国では2025年7月にステーブルコイン規制を明確化した法案が可決され、業界の機運が高まっている。
日本国内でも2023年6月の改正資金決済法施行により法整備が進み、2025年8月にはフィンテック企業のJPYCが初の登録業者となるなど環境が整いつつある。
こうした国際的な競争環境の中で、日本独自の強固な決済基盤を確立することは急務となっている。国内外からの投資資金の流入を加速させるためにも、利便性の高いデジタル資産市場の整備が求められているのだ。
24時間取引と市場の活性化
計画されているステーブルコインは、発行者の資産と裏付け資産を分離して管理する「信託型」を採用し、高い安全性を確保する方針だ。
当初は円建てでの運用を想定しているが、将来的にはドル建てへの対応も視野に入れている。
このシステムが実現すれば、従来の市場取引時間にとらわれない24時間365日の取引が可能になる可能性がある。個人向けのデジタル円(CBDC)とは異なり、企業間決済や大口取引を中心とした新たな金融インフラとして機能する見込みだ。
銀行にとっては決済手数料収入の減少につながる可能性もあるが、新たなビジネス機会の創出という側面も大きい。
従来の適格投資家に限定された米国の事例とは異なり、より幅広い市場参加者を想定した日本発のモデルに注目が集まっている。